次の文で示す患者の病証の病理で正しいのはどれか。「82歳の男性。半年前に誤嚥性肺炎で1か月間入院した。退院後から腰の痛み、耳鳴り、手足のほてりが出現し寝汗をかくようになった。」
正答:4
正答:4
腰の痛み(腰膝酸軟)・耳鳴り・手足のほてり(五心煩熱)・寝汗(盗汗)はいずれも腎陰虚の代表症状。高齢と久病(肺炎による1か月の入院)が背景にある。正答は4。
症候群から腎陰虚を同定し、その病理を「腎陰の不足」と言えるか。他の3つは別の臓の病理。
腎は精を蔵し、腰を府とし、耳に開竅する。腎陰が不足すると、腰膝が酸軟(だるく力が入らない)になり、耳鳴り・難聴が起こり、陰が陽を抑えられず虚熱が生じて手足のほてり(五心煩熱・手足心熱)、寝汗(盗汗)、頬部紅潮、午後の微熱が現れ、舌は紅で苔が少なく脈は細数となる。本例は82歳という加齢に加え、誤嚥性肺炎で1か月入院という久病があり、肺が損傷されて次第に腎も損なわれた(金水相生の関係で肺陰虚が腎に及ぶ)と読める。疏泄の失調は肝、運化の失調は脾、肝火の上炎は肝の実火で、いずれも本例の症候群を説明しない。
「ほてり」で実熱(肝火)を選ばないこと。実熱は高熱・口渇・目赤・脈数有力、虚熱は午後の微熱・五心煩熱・盗汗・脈細数。腰痛は膀胱経・腎経・肝経のいずれでも起こるが、耳鳴りと盗汗が加われば腎陰虚。誤嚥性肺炎という肺の病から腎へ及ぶ流れ(金水相生)も手がかり。
腎陰虚の症候:腰膝酸軟、眩暈、耳鳴り、五心煩熱、盗汗、頬部紅潮、口乾、大便秘結、小便短赤、舌質紅・少苔、脈細数。原因は加齢、久病、房事過多、熱病後の陰液損傷。治療は滋補腎陰で太渓・照海・復溜・腎兪・三陰交に補法。肺腎陰虚(から咳を伴う)、肝腎陰虚(目の乾き・眩暈を伴う)、心腎不交(心煩・不眠を伴う)へ広がる。
高齢+入院という背景に、4つの症状を並べる。ほてりで実熱へ、腰痛で肝へ誘導する肢がある。解法は、(1) 症状を臓に振り分ける(腰・耳=腎)、(2) 熱の質を判定(盗汗・五心煩熱=虚熱)、(3) 腎陰虚。
腎は精を蔵し腰を府とし耳に開竅する。腎陰が不足すると腰膝酸軟・耳鳴り・五心煩熱・盗汗・頬部紅潮が現れ、舌は紅で少苔、脈は細数になる。本例は82歳という加齢と、誤嚥性肺炎による1か月の入院という久病が背景にあり、症候はすべて腎陰虚に一致する。疏泄の失調は肝、運化の失調は脾、肝火の上炎は実火で合わない。