経脈病証で「前頸部が腫れ、口がゆがみ口すぼめができず、うつ傾向にある」のはどれか。
正答:3
正答:3
前頸部の腫れと顔面の麻痺(口のゆがみ・口すぼめができない)は足の陽明胃経の走行上の病証で、うつ傾向は胃経の経絡関連病証。正答は3。
経脈病証を、走行上の症状(顔面・前頸部)と関連病証(精神症状)の両方から同定できるか。
足の陽明胃経は鼻の外側に起こり、顔面を上下にめぐって前頸部を下り、胸腹部から下肢前面を通って第2趾に至る。顔面と前頸部を広く通るので、病証には顔面の麻痺(口がゆがむ、口すぼめや口笛ができない)、前頸部の腫れ、鼻出血、歯痛が現れる。さらに胃経の経絡関連病証には精神症状(うつ傾向、逆に狂躁)が含まれる。手の太陰肺経は上肢前面橈側で喘咳・胸満、手の少陰心経は上肢前面尺側で心痛・咽乾・目黄、足の少陽胆経は側頭部と体側で口苦・ため息・顔色のくすみが病証で、いずれも顔面麻痺と前頸部の腫れは説明しない。
顔面麻痺というと三叉神経・顔面神経を思い浮かべて経絡と結びつきにくいが、経脈病証としては胃経の走行(顔面)で説明する。うつ傾向という精神症状を心経・心包経と結びつけがちだが、胃経の関連病証にも精神症状がある点が本問の要。前頸部=胃経、側頸部=小腸経、後頸部=膀胱経・胆経と部位で分ける。
足の陽明胃経の病証(『霊枢』経脈篇):洒洒として振寒し、しばしば伸び、しばしば欠伸し、顔が黒くなる。病が至れば人と火を悪み、木の音を聞けば驚き、心が動き、独り閉戸塞牖して処せんと欲す(=人を避けて閉じこもる)。甚だしければ高きに登りて歌い、衣を棄てて走る。所生病は狂瘧・温淫・汗出・鼽衄・口喎・唇胗・頸腫・喉痺など。閉じこもる記述がうつ傾向、高きに登りて歌うが狂躁にあたる。
顔面と精神という結びつきにくい2つを並べ、経絡で説明させる。解法は、(1) 顔面麻痺・前頸部=胃経の走行、(2) 胃経の関連病証に精神症状がある、(3) 胃経。
足の陽明胃経は鼻の外側から顔面をめぐり前頸部を下って胸腹部・下肢前面を通る。病証は顔面の麻痺(口がゆがむ・口すぼめができない)、前頸部の腫れ、鼻出血、歯痛で、関連病証として人を避けて閉じこもるといった精神症状も含む。本例の3所見はすべて胃経に一致する。肺経は呼吸、心経は心と咽、胆経は側頭と体側で区別する。