次の文で示す症例の障害神経根の部位で最も適切なのはどれか。「55歳の男性。頸部の神経根症状により左肩関節外転筋力低下、左上腕二頭筋反射減弱、左上腕外側の知覚鈍麻がみられる。」
正答:2
正答:2
肩関節外転の筋力低下・上腕二頭筋反射の減弱・上腕外側の知覚鈍麻はいずれもC5。C5神経根はC4とC5の椎間から出る。正答は2。
3つの所見(筋力・反射・感覚)をそれぞれ神経根レベルへ翻訳し、頸椎では神経根が上位の椎間から出るという規則を適用できるか。
肩関節の外転にはたらくのは三角筋(腋窩神経)と棘上筋(肩甲上神経)で、どちらも由来はC5とC6。上腕二頭筋反射はC5〜C6を反射弓とし、上腕外側の皮膚感覚はC5の領域。3つとも重なるのはC5。頸椎では神経根が同じ番号の椎骨の上の椎間孔から出るため、C5神経根はC4とC5の間から出る。第4頸椎と第5頸椎の間の障害でC5が押される形になる。C6ならC5-C6間、C7ならC6-C7間、C8ならC7-Th1間から出る。
頸椎と腰椎で神経根の出方が違う。頸椎では神経根が同番号の椎骨の上から出る(C5はC4-C5間)が、胸椎以下では同番号の椎骨の下から出る。C8だけは第8頸椎が存在しないのでC7-Th1間から出る。この切り替わりを押さえていないと1つずれる。
頸神経根の代表所見:C5=三角筋(外転)、上腕二頭筋反射、上腕外側の感覚。C6=上腕二頭筋・腕橈骨筋(肘屈曲)、腕橈骨筋反射、母指と前腕橈側の感覚。C7=上腕三頭筋(肘伸展)、上腕三頭筋反射、中指の感覚。C8=手指の屈曲、小指と前腕尺側の感覚。Th1=手内在筋(指の外転内転)。誘発テストはスパーリングテスト、ジャクソンテスト。
椎間の表記だけを並べ、神経根の番号と椎間の番号のずれを試す。解法は、(1) 各所見を神経根レベルへ翻訳、(2) 3つが重なる根を決める、(3) 頸椎では「その根の番号の椎骨の上」の椎間を選ぶ。
肩の外転筋力低下・上腕二頭筋反射の減弱・上腕外側の知覚鈍麻はすべてC5を指す。頸椎では神経根が同番号の椎骨の上の椎間孔から出るので、C5はC4-C5間。C3-C4間はC4、C6-C7間はC7、C7-Th1間はC8が出るところで、いずれも本例の所見と合わない。