次の文で示す症例で罹患神経に対する治療穴として最も適切なのはどれか。「35歳の女性。妊娠に伴い母指から中指にかけてしびれが出現し、母指と示指で輪を作ろうとすると楕円型になる。」
正答:4
正答:4
母指から中指のしびれと、母指・示指の輪が楕円になる所見は正中神経の障害。妊娠中の発症も合わせて手根管症候群。4肢のうち正中神経に届くのは内関だけ。正答は4。
しびれの分布と輪のゆがみ方から神経を特定し、その神経の走行上にある経穴を選べるか。輪が「楕円」か「涙のしずく」かで障害の高さが変わる点も含む。
母指から中指のしびれは正中神経の感覚領域。母指と示指で輪を作らせる検査では、ゆがみ方で障害の高さが分かる。母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭)が弱ると輪がつぶれて楕円になる。これらは手根管より遠位で正中神経から枝を受けるので、手根管症候群を示す。一方、輪が涙のしずくの形になるのは長母指屈筋と示指の深指屈筋が働かず母指IP関節・示指DIP関節が曲がらない場合で、前骨間神経の麻痺。前骨間神経は純粋な運動枝なのでしびれは伴わず、本例には合わない。妊娠に伴う浮腫は手根管内圧を上げる典型的な誘因。内関は前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間にあり、深部を正中神経が走るので、罹患神経へのアプローチになる。
輪の形が2種類あるのが最大の分岐。楕円(パーフェクトOの不整)=母指球筋の麻痺=手根管症候群、涙のしずき形=前骨間神経麻痺。前骨間神経は運動枝だけなのでしびれを伴わず、しびれの記載があれば前骨間神経は消える。経穴側は、上肢の穴を経別に並べて正中神経の穴を1つだけ置く形。
この症候群で筋力が保たれるのは、枝が手根管より手前で分かれる円回内筋や浅指屈筋、それに前骨間神経が支配する筋。手のひらへ向かう正中神経の枝は屈筋支帯の浅い側を越えるため手掌の感覚は残り、しびれは指に限られる。誘因は妊娠・産後、透析アミロイドーシス、糖尿病、手の酷使、関節リウマチなど。誘発テストはファーレンテスト、ティネル徴候。前骨間神経麻痺では涙滴徴候(ティアドロップサイン)が出る。
上肢の経穴を経別に散らし、しびれの分布だけで神経を決めさせる。加えて2種類の輪のゆがみを区別させる。解法は、(1) しびれの分布→神経、(2) 輪の形→障害の高さ、(3) その神経の走行上の経穴を選ぶ。
母指から中指のしびれは正中神経、母指と示指の輪が楕円になるのは母指球筋の麻痺で、これは手根管より遠位の枝が担う筋。妊娠中の発症も合わせて手根管症候群。輪が涙のしずく形なら前骨間神経麻痺だが、それは運動枝だけなのでしびれを伴わない。治療穴は正中神経の走行上にある内関。小海は尺骨神経、手五里は橈骨神経、天井は肘頭上方で、いずれも合わない。