末梢性顔面神経麻痺で過誤再生による後遺症はどれか。
正答:2
正答:2
切れた軸索が本来と違う枝へ伸びてしまうのが過誤再生。唾液腺へ向かうはずの線維が涙腺へつながると、食事のときに涙が出るワニの涙になる。正答は2。
「過誤再生による」という限定を読み、麻痺そのものの症状と、再生の過程で生じる症状を区別できるか。
神経が損傷されて軸索が断たれると、遠位側はワーラー変性を起こす。再生の際、神経内膜まで断裂していると軸索は元の通り道をたどれず、行き先を識別しないまま別の枝へ迷入する。これが過誤再生。顔面神経では、唾液腺へ向かう鼓索神経の線維が涙腺へ向かう大錐体神経の経路へ入り込むと、唾液が出る場面すなわち食事のときに涙が流れる。これがワニの涙(ボゴラード症候群)。兎眼は眼輪筋の麻痺そのもので閉眼できない状態、味覚脱失は鼓索神経が障害されたことによる症状、聴覚過敏はアブミ骨筋神経の障害による症状で、いずれも麻痺の直接の結果であって再生の過誤ではない。
4肢とも顔面神経麻痺で実際にみられるので、「顔面神経麻痺の症状か」では絞れない。設問は「過誤再生による後遺症」と限定しているので、再生の過程で行き先を間違えた結果として説明できるものだけが残る。病的共同運動(口を動かすと目が閉じるなど)も同じ機序の後遺症。
顔面神経の枝と、障害されたときの症状:大錐体神経=涙腺分泌、アブミ骨筋神経=聴覚過敏、鼓索神経=舌前2/3の味覚と顎下腺・舌下腺の唾液分泌。障害部位が膝神経節より近位なら3つとも、アブミ骨筋神経分岐より遠位なら味覚障害のみ、というように症状の組合せで高さが分かる。神経再生の時期に強い通電を行うと過誤再生を助長するとされ、病的共同運動やワニの涙、拘縮の危険がある。
すべて実在の症状を並べ、修飾語(過誤再生による)で1つに絞らせる。解法は、(1) 修飾語が指す機序を言語化する、(2) 各肢がその機序で説明できるかを1つずつ確認、(3) 麻痺そのものの症状は落とす。
顔面神経麻痺の後遺症のうち、過誤再生によるものはワニの涙。軸索が再生するとき行き先を識別しないため、唾液腺へ向かうはずの線維が涙腺へ迷入し、食事のときに涙が流れる。兎眼は眼輪筋麻痺そのもの、味覚脱失は鼓索神経の障害、聴覚過敏はアブミ骨筋神経の障害で、いずれも麻痺の直接の結果。再生期の強い通電は過誤再生を助長するとされる。