次の文で示す病態により生じたスポーツ外傷・障害に対する検査法はどれか。「膝関節の屈伸動作時に、ある組織が大腿骨外側上顆で繰り返し摩擦を生じる一種の使い過ぎ症候群である。」
正答:2
正答:2
膝の屈伸で大腿骨外側上顆と繰り返し擦れるのは腸脛靱帯。腸脛靱帯炎の誘発テストはグラスピングテスト。正答は2。
擦れる部位の記述から組織を特定し、その組織の障害に対応する誘発テストを選べるか。4肢はすべて実在の膝の検査。
大腿骨外側上顆の上を、膝の屈伸に伴って前後へ動く帯状の組織が腸脛靱帯。ランニングなど屈伸の反復が多い競技で摩擦が繰り返されると腸脛靱帯炎(ランナー膝)になる。グラスピングテストは、膝のやや上の外側で腸脛靱帯を指で圧迫したまま膝を屈伸させ、痛みが出れば陽性とするもので、この病態を直接みる。エリーテストは腹臥位で膝を屈曲し、大腿直筋が短縮していれば患側の骨盤が持ち上がるもの。マクマレーテストで確かめるのは半月板の損傷で、あお向けで膝と股関節をいっぱいに曲げ、下腿を回しながら伸ばして痛みや引っかかりを確かめる。膝内反ストレステストは膝に内反を強制して外側側副靱帯の損傷をみる。
外側上顆という語から外側側副靱帯を連想して4を選びやすい。外側側副靱帯は外側上顆から腓骨頭へ走る靱帯で、屈伸で擦れるものではない。「繰り返し摩擦」「使い過ぎ症候群」という語が、外傷ではなくオーバーユースであることを示している。
腸脛靱帯は大腿筋膜張筋と大殿筋の一部が移行してできる帯で、脛骨のガーディ結節につく。膝屈曲30度付近で大腿骨外側上顆を乗り越えるため、この角度前後で摩擦が集中する。長距離走者に多く、下り坂やオーバープロネーションが増悪因子。誘発テストはグラスピングテスト(大腿骨外側上顆を圧迫しながら屈伸)とオーバーテスト(側臥位で股関節の内転制限をみる)。治療は大腿筋膜張筋と腸脛靱帯のストレッチ、局所への刺鍼で、胆経の穴が用いられる。
膝の検査を4つ並べ、部位の語(外側上顆)から別の構造へ誘導する。解法は、(1) 記述された動きと部位から組織を特定、(2) 各検査がどの組織をみるかを出す、(3) 一致するものを選ぶ。
膝の屈伸で大腿骨外側上顆と繰り返し擦れるのは腸脛靱帯で、これが炎症を起こしたのが腸脛靱帯炎。誘発テストは腸脛靱帯を圧迫しながら屈伸させるグラスピングテスト。エリーテストは大腿直筋の短縮、半月板の損傷はマクマレーテスト、膝内反ストレステストは外側側副靱帯の損傷をみるもので、いずれも本例の病態とは別。