次の文で示す病証として適切なのはどれか。「32歳の女性。主訴は眼精疲労。最近、月経血の量が少なく色も薄くなった。緊張すると手がふるえ、夜中にこむら返りが起こりやすい。舌は淡白、脈は濇を認める。」
正答:4
正答:4
眼精疲労・経血の量が減って色が薄い・手のふるえ・こむら返り・舌淡白・脈濇はすべて肝血虚。正答は4。
肝が血を蔵し目と筋を養うという生理から、4つの症状を一本につなげられるか。
肝は血を蔵し、目に開竅し、筋を主る。肝血が不足すると、まず目が養われず眼精疲労・かすみ・乾きが出る。血が足りなければ月経血の量が減り色も薄くなる。筋が養われないと引きつりやふるえ、夜間のこむら返り(転筋)が起こる。舌が淡白なのは血の不足、濇脈(渋脈)はざらざらとして指先をこするように渋滞した触れ方で、瘀血のほか血虚でもみられる。血の生成不足、出血、慢性の病などが肝血虚の原因になる。心血虚なら動悸・不眠・健忘が前面に出て、目や筋の症状は中心にならない。腎精不足なら発育や老化に関わる症状(耳鳴・腰膝の弱り・脱毛・歯の動揺)が出る。脾不統血は脾が血を脈内にとどめられずに出血する病態で、月経過多や皮下出血の側。
脾不統血との向きの違いが決め手。血が足りないのか(肝血虚=経血が少ない)、血が漏れるのか(脾不統血=経血が多い)で正反対。また肝血虚と肝陰虚は近いが、肝陰虚では五心煩熱や舌紅少苔といった熱の所見が加わる。本例は舌淡白なので血虚。
肝血虚の代表症状:目のかすみ・乾き・眼精疲労、めまい、爪の色が薄くもろい、四肢のしびれや引きつり、こむら返り、月経量の減少や遅れ・閉経、不眠、舌淡白、脈細または濇。肝は目に開竅し爪にその華が現れ筋を主るので、目・爪・筋の3つに同時に症状が出るのが特徴。治法は補血養肝で、肝兪・膈兪・三陰交・太衝などが用いられる。
血に関わる証を4つ並べ、量が減る側と漏れる側を混ぜる。解法は、(1) 症状の出る場所(目・筋・爪)から臓を決める、(2) 血が足りないのか漏れるのかを月経の記述で決める、(3) 舌脈で虚実と寒熱を確認。
肝は血を蔵し目に開竅し筋を主る。眼精疲労、経血の量が減り色も薄い、緊張時の手のふるえ、夜間のこむら返り、舌淡白、脈濇はすべて肝血の不足で説明できるので肝血虚。心血虚は動悸・不眠、腎精不足は耳鳴や腰膝の弱り、脾不統血は血が漏れて経血が増える側で、いずれも合わない。