次の文で示す病証に対する治療方針で最も適切なのはどれか。「22歳の女性。主訴は月経痛。経血量は少なく、血塊が混じることがある。小腹部の冷痛と拒按がみられ、足が冷える。舌根に白厚苔、脈は沈遅を認める。」
正答:2
正答:2
経血が少なく血塊が混じり、下腹部が冷えて痛み押されるのを嫌がる。足も冷え、脈は沈遅。寒邪が経脈を凝滞させた血瘀なので、寒邪を除く。正答は2。
血瘀の背景にある邪を寒・熱・湿から選び分けられるか。冷痛と沈遅脈が寒を名指ししている。
血瘀は血の巡りが滞った状態で、原因には寒邪・熱邪・痰湿がある。寒邪には凝滞性があり、血を固まらせて経脈の通りを塞ぐ。本例は小腹部が冷えて痛み(冷痛)、押されるのを嫌がり(拒按=実証)、血塊が混じり、足が冷え、脈は沈遅。沈は病位が裏にあること、遅は寒を示す。舌根の白厚苔も寒湿の側。以上から寒邪による血瘀と決まるので、治療方針は寒邪を除くこと。温めて散寒すれば血の巡りが戻る。肝鬱を抑えるのは気滞が主体で脹痛と脈弦があるとき、脾の統血を促すのは血が漏れて経血が多いとき、肝腎の精血を補うのは虚証で経血が少なく隠痛があり押すと楽になるときで、いずれも本例の実寒とは合わない。
経血が少ないという記述だけでは虚とも実とも決まらない。拒按(押されるのを嫌がる)が実、喜按(押すと楽)が虚という区別が決め手。血塊が混じるのも血瘀の所見。冷痛と沈遅脈で寒が確定する。
月経痛の弁証:気滞血瘀=月経前から張るような痛み、経血に塊、脈弦。寒凝血瘀=冷えて痛み温めると楽、経血暗紫で塊、脈沈遅。湿熱=灼けるような痛み、経血が粘り臭う、帯下が黄色い、舌紅黄膩苔。気血両虚=月経後半から鈍く痛み押すと楽、経血が薄く少ない、舌淡脈細。肝腎不足=腰がだるく経後に痛む。実証(不通則痛)は通じさせ、虚証(不栄則痛)は補うのが原則。
月経痛の治法を4つ並べ、虚実の向きが逆のものを混ぜる。解法は、(1) 拒按か喜按かで虚実、(2) 冷痛か灼痛か脹痛かで邪の性質、(3) 舌脈で確認、(4) 同じ向きの治法を選ぶ。
経血が少なく血塊が混じり、下腹部が冷えて痛み押されるのを嫌がる。足も冷えて脈は沈遅。寒邪の凝滞性が血を固まらせた寒凝血瘀で、方針は寒邪を除くこと。肝鬱を抑えるのは気滞、脾の統血を促すのは血が漏れる病態、肝腎の精血を補うのは虚証への治法で、拒按という実の所見と合わない。