次の文で示す病証に対する治療穴で最も適切なのはどれか。「33歳の男性。主訴は上腹部の不快感。連日、飲食の不摂生が続き、悪心、嘔吐がみられる。腹部膨満、噯気、口臭を伴う。舌は厚苔、脈は滑実を認める。」
正答:2
正答:2
飲食の不摂生が続き、上腹部の不快感・悪心嘔吐・腹部膨満・噯気・口臭。舌は厚苔、脈は滑実。食滞胃脘なので胃経の梁門を取る。正答は2。
食べ過ぎで胃に食が停滞した病証を見抜き、胃の局所へ届く経穴を選べるか。4肢は所属経がばらばら。
暴飲暴食や疲労で胃の降濁が失調すると、食べたものが胃に停滞する。これが食滞胃脘。濁った気が上へ突き上げるので悪心・嘔吐・噯気(げっぷ)・口臭が出て、腹は張る。舌苔は厚くなり、脈は滑(痰飲・食滞)で実(邪が盛ん)。治療穴は胃の局所で、梁門は上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸にあり、中脘の外方2寸で腹直筋中に取る胃経の穴。胃脘部のちょうど真上にあたるので、局所の治療穴として使える。膻中は前胸部の第4肋間の高さで気会、帯脈は側腹部で帯脈にちなむ胆経の穴、肓兪は臍の外方5分の腎経の穴で、いずれも胃脘部の局所ではない。
腹部の穴が並ぶので高さと外方の寸法で区別する。胃脘部(みぞおちから臍の間の上寄り)は任脈の中脘(臍上4寸)が基準で、その外方2寸が梁門。臍の高さになると天枢(胃経・外方2寸)や肓兪(腎経・外方5分)で、狙う臓腑が変わる。
食滞胃脘の症状:胃脘部の脹痛と拒按、噯気で腐った臭い、嘔吐すると楽になる、食欲不振、便秘または下痢、舌苔厚膩、脈滑実。治法は消食導滞で、中脘・梁門・天枢・足三里・内関・公孫などが用いられる。上腹部の任脈は、鳩尾(臍上7寸)・巨闕(6寸)・上脘(5寸)・中脘(4寸)・建里(3寸)・下脘(2寸)・水分(1寸)・神闕(臍)と並び、胃経はその外方2寸に不容から並ぶ。
腹部と胸部の穴を混ぜ、所属経も散らす。解法は、(1) 症状から病位(胃脘部)を確定、(2) 各経穴の高さと外方の寸法を出す、(3) 病位に重なる穴を選ぶ。
飲食の不摂生で胃に食が停滞し、降濁が失調して悪心・嘔吐・噯気・口臭・腹満が出るのが食滞胃脘。舌の厚苔と滑実の脈が食滞を裏づける。治療穴は胃脘部の局所で、臍上4寸・前正中線の外方2寸にある胃経の梁門。膻中は前胸部、帯脈は側腹部、肓兪は臍の高さで、いずれも胃脘部ではない。