次の文で示す病証に対する経脈を考慮した治療穴として適切なのはどれか。「65歳の男性。2日前に新型コロナワクチン接種を受けたところ、肩を外転すると強い痛みを自覚する。悪寒、発熱、頭痛はない。肩の屈曲、伸展痛もない。」
正答:3
正答:3
肩を外転したときだけ痛み、屈曲・伸展では痛まない。外転で伸びるのは肩の外側を通る手の少陽三焦経なので、三焦経の液門を取る。正答は3。
肩の運動方向と、そこで牽引される経脈を対応させられるか。屈曲・伸展が痛まないという否定の記述が経を絞る。
上肢の陽経は肩のまわりを面で分けて通る。前面を通るのは手の陽明大腸経、外側から後上方を通るのが手の少陽三焦経、後面を通るのが手の太陽小腸経で、前面の内側寄りには手の太陰肺経が走る。肩を動かしたときにどの方向で痛むかで、伸ばされている経が推定できる。外転で痛み、屈曲(前方挙上)でも伸展(後方挙上)でも痛まないなら、外側を通る三焦経が責任経。三焦経の穴を遠隔で取ると、液門は手背の薬指と小指の間、みずかきの近位陥凹部にある三焦経の滎水穴。魚際は肺経の滎火穴で屈曲痛のとき、前谷は小腸経の滎水穴で伸展痛のとき、天泉は心包経で上腕前面にあり肩の運動方向とは対応しない。
ワクチン接種後という記述に引きずられて全身症状を探しにいくと迷うが、悪寒・発熱・頭痛がないと明記されており、局所の運動時痛に限られている。判定は運動方向と経の対応だけ。屈曲・伸展が痛まないという否定が、肺経と小腸経を消すために置かれている。
肩の運動方向と経脈:屈曲(前方挙上)=手の太陰肺経・手の陽明大腸経、外転=手の少陽三焦経、伸展(後方挙上)=手の太陽小腸経、内転・水平内転=手の厥陰心包経。五十肩(肩関節周囲炎)ではどの方向で制限が出るかを見て、対応する経の穴を遠隔で取る配穴が行われる。井穴・滎穴など末端の穴は急性の痛みに用いられやすい。
上肢の陽経・陰経の末端穴を並べ、運動方向の否定文で消させる。解法は、(1) 痛む運動方向を確認、(2) 痛まない方向で経を消す、(3) 残った経の穴を選ぶ。
肩を外転したときだけ痛むので、牽引されているのは肩の外側を通る手の少陽三焦経。屈曲でも伸展でも痛まないという記述が、前面の肺経と後面の小腸経を消している。三焦経の穴は液門。魚際は肺経で屈曲痛、前谷は小腸経で伸展痛、天泉は心包経で上腕前面にあり運動方向と対応しない。