問83
「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存的治療を受けた。」本患者の症状で最もみられるのはどれか。
この問題の分類段階3 応用症例や条件を判断材料にする問題
正答:2
正答:2
左中大脳動脈領域の脳梗塞による右片麻痺の症例。中大脳動脈の閉塞で出る大脳皮質症状が、優位半球(言語中枢のある側)か劣位半球かで分かれることを問う、脳の機能局在の基本問題。
右片麻痺=病巣は反対側の左大脳半球。左大脳半球は大多数の人で優位半球にあたる。その左中大脳動脈領域梗塞で『最もみられる』大脳皮質症状はどれかを選ぶ。
教科書は中大脳動脈の閉塞について『対側の片麻痺、知覚障害に加え、優位大脳半球では失語、劣位半球では病態失認、半側空間無視などの大脳皮質症状が出現する』と記載する。右片麻痺=左半球病巣=優位半球なので失語が最もみられる。
優位半球と劣位半球で出る症状が左右逆になる点。右片麻痺なら病巣は左半球=(多くは)優位半球=失語。左片麻痺なら病巣は右半球=劣位半球=半側空間無視・病態失認。麻痺側と病巣側が反対であることをまず確定するのが鍵。
中大脳動脈は対側の片麻痺・知覚障害に加え同名半盲を呈することがあり、優位半球では失語、劣位半球では病態失認・半側空間無視が出る。被殻出血でも同様に優位側で失語、非優位側で失行・失認を呈すると記載され、優位/劣位の区別は脳血管障害全体に通じる枠組み。
選択肢を見て『左半側空間無視』を選びたくなるが、無視は劣位(右)半球障害でみられる。右片麻痺=左半球病巣=優位半球という連鎖を取り違えると誤答する。
脳血管障害は『麻痺側の反対が病巣側』『優位半球(多くは左)=失語』『劣位半球(多くは右)=半側空間無視・病態失認』の3点を押さえる。中大脳動脈は対側片麻痺+同名半盲+(優位なら)失語が典型。小脳症状(失調)は大脳の中大脳動脈領域とは別系統であることを区別する。