「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存的治療を受けた。」重度の片麻痺が続いた場合に行うADL訓練として最も適切なのはどれか。
正答:4
正答:4
右利きの人の右手が重く麻痺したままなら、左手で日常の動作をこなせるようにする。正答は4。
麻痺が重いまま続く場合に、機能の回復を待つのではなく別の手立てへ切り替える判断ができるか。
左の中大脳動脈の領域が詰まると、反対側である右の手足が麻痺する。この人は右利きなので、麻痺したのは使い慣れた側である。麻痺が軽ければその手を使えるように訓練するが、重い麻痺が続く場合、その手が実用の水準まで戻る見込みは低い。そこで、残っている左手で書字・食事・整容などをこなせるようにする訓練へ切り替える。これが利き手交換で、生活の自立を早く取り戻すための手立てになる。誤肢はいずれも麻痺した右手が使える前提か、両手が使える前提の課題であり、重い麻痺が続く状況には合わない。
リハビリテーションには、失われた機能を取り戻す方向と、残った機能で補う方向の2つがある。どちらを選ぶかは、回復の見込みと本人の生活の必要による。「重度の片麻痺が続いた場合」という条件が付いている以上、補う方向を選ぶ。条件節を読み飛ばすと、回復を目指す選択肢に引っぱられる。
利き手交換では、まず書字から始めることが多く、線を引く、なぞる、大きな字を書くという順に進める。食事はスプーンやフォーク、太柄の箸、自助具を使いながら段階的に移行する。片手で行う更衣の手順(麻痺側から着て健側から脱ぐ)も併せて指導する。生活の場では、ボタンエイド、ソックスエイド、滑り止めマットといった自助具が役に立つ。
訓練の課題を4つ並べ、麻痺側が使える前提のものを混ぜる。解法は、(1) 条件節(重度が続く)を確認、(2) 回復を目指すか補うかを決める、(3) 残った側だけで完結する課題を選ぶ。
右利きの人の右手が重く麻痺したまま続くなら、左手で日常動作をこなせるようにする利き手交換を行う。箸・両上肢での更衣・両手での洗顔は、いずれも麻痺側が使える前提で条件に合わない。