「52歳の男性。3週間前から倦怠感と微熱がある。舌炎は認めないが、鼻血や歯茎の出血、皮下出血斑がみられる。」最も考えられる疾患はどれか。
正答:1
正答:1
症状の組合せから疾患を絞る症例問題。倦怠感・微熱(感染症・悪性腫瘍由来)+出血傾向(鼻血・歯茎出血・皮下出血斑)という所見は、白血病の主症状(感染症・出血傾向・全身倦怠感・発熱)に最もよく合致する。『舌炎を認めない』は悪性貧血(萎縮性舌炎)を否定する手がかり。
複数の症状(全身倦怠感・微熱・多部位の出血傾向)を統合して、白血病の主症状像を再構成できるか。また『舌炎なし』という陰性所見で悪性貧血を除外できるか。
白血病では白血病細胞の増加により正常の血球産生が障害され、血小板減少による出血傾向(鼻出血・歯肉出血・皮下出血斑)、白血球減少による感染症、赤血球減少による貧血が現れる。加えて悪性腫瘍による発熱・全身倦怠感・易疲労感もみられる。本症例の所見がこれに一致する。
出血傾向は白血病・血友病の双方でみられるが、白血病は発熱・倦怠感(血球産生障害・悪性腫瘍由来)を伴い後天性に進行するのに対し、血友病は乳幼児期からの先天性・男性の止血異常という点で経過が異なる。
本症例の鑑別の鍵は3点。(1)発熱・倦怠感=白血病の悪性腫瘍由来の全身症状、(2)多部位の出血傾向=血小板減少、(3)『舌炎なし』=悪性貧血の除外。白血病の血液検査では正球性正色素性貧血・血小板減少・血清LDH高値がみられる。
出血傾向だけを見て血友病を選ばせる、または舌炎の有無を見落として悪性貧血を選ばせるひっかけ。陰性所見(舌炎なし)と年齢・経過(52歳・3週間前から)を読むことで型が絞れる。
白血病の主症状=感染症(白血球減少)・出血傾向(血小板減少)・貧血(赤血球減少)+発熱・全身倦怠感(悪性腫瘍由来)を軸に、悪性貧血(舌炎・末梢神経障害)、溶血性貧血(黄疸・脾腫)、血友病(先天性・男性・乳幼児期からの関節内血腫等)と対比して鑑別する。