「72歳の女性。頻尿と尿意切迫感を主訴に来院した。尿一般検査と尿細菌検査に異常はなかった。腹部超音波検査で残尿はみられなかった。」考えられる疾患はどれか。
正答:3
正答:3
頻尿と尿意切迫感を主訴とし、尿検査(尿一般・尿細菌)に異常がなく、残尿もない72歳女性の症例。感染(膀胱炎・腎盂腎炎)と結石を除外し、蓄尿症状のみが残るパターンを問う。
蓄尿症状(頻尿・尿意切迫感)があるのに、尿沈渣の白血球増加・細菌・血尿・残尿といった器質的所見がそろわない場合、どの病態を考えるかを問うている。
教科書では急性膀胱炎は『大腸菌をはじめとするグラム陰性桿菌が外陰部から尿道を経由して上行性に感染』し、症状は『頻尿、排尿痛、残尿感、尿混濁、血尿』、診断は尿沈渣で白血球が5/毎視野以上かつ細菌培養陽性とされる。本症例は尿検査・尿細菌検査ともに異常がないため細菌感染は否定される。残尿もみられないことから下部尿路閉塞も否定的で、頻尿・尿意切迫感という蓄尿症状のみが残る。
頻尿・尿意切迫感は膀胱炎でも結石でも起こりうるが、それらは尿混濁・血尿・膿尿・疼痛などの随伴所見を伴う。本問の鍵は『尿検査正常+残尿なし』という除外条件で、随伴所見がそろわない点を読み取れるかどうか。
教科書の急性膀胱炎の項では治療として『水分を十分に摂取し、排尿を我慢しないよう指導する』とあり、感染症では尿沈渣の白血球と細菌培養が診断の軸になる。これらの所見がすべて陰性であることが、感染性疾患を系統的に除外する根拠になる。
頻尿・尿意切迫感だけを見て反射的に膀胱炎を選ばせる誘導。設問文の『尿検査異常なし・残尿なし』という否定情報を見落とすと誤答する。
下部尿路症状を蓄尿症状(頻尿・尿意切迫感)と排尿症状(排尿困難・残尿)に分け、感染(膀胱炎・腎盂腎炎=尿所見異常+発熱)・結石(疝痛・血尿)を所見で除外する練習をする。除外条件(尿検査正常・残尿なし・血尿なし・発熱なし)を一つずつチェックして残る病態を選ぶ。