「72歳の女性。頻尿と尿意切迫感を主訴に来院した。尿一般検査と尿細菌検査に異常はなかった。腹部超音波検査で残尿はみられなかった。」生活指導について適切なのはどれか。
正答:2
正答:2
尿がたまっていないのに膀胱が勝手に縮んでしまう状態。骨盤底の筋を鍛えると、その勝手な収縮を抑えられる。正答は2。
検査に異常がない頻尿と尿意切迫感を、感染や閉塞ではない機能の問題として扱えるか。
この人は頻尿と急に我慢できない尿意を訴えているが、尿の検査に異常がなく細菌もいない。膀胱に尿が残ってもいない。つまり感染でも、出口が詰まっているのでもない。残るのは、膀胱がたまる途中で勝手に縮んでしまうという機能の問題で、これを過活動膀胱という。対策の柱は2つある。ひとつは骨盤底の筋を意識して締める訓練で、尿道を締める力が増すだけでなく、締めると膀胱の勝手な収縮が反射的に抑えられる。もうひとつは、尿意を感じてもすぐには行かず、少しずつ我慢する時間を延ばして膀胱にためられる量を増やしていく訓練である。誤肢はいずれもこの方向と逆になる。
頻尿への対応として水分を控えるのは、一見もっともらしいが逆効果になる。尿が濃くなると膀胱の粘膜を刺激して、かえって尿意が起こりやすい。同じく、尿意のたびにすぐ行く習慣は膀胱の容量を減らしていく。「我慢しすぎない、ただし少しずつ延ばす」という加減が要点になる。
過活動膀胱は加齢とともに増え、切迫性尿失禁を伴うこともある。骨盤底筋訓練は、腹圧性尿失禁にも有効で、女性では出産後の指導としても行われる。カフェインとアルコールは膀胱を刺激するので控えめにする。薬物療法では膀胱の収縮を抑える薬が使われる。鍼灸では中極・関元・次髎・三陰交などを用い、排尿の記録をつけてもらって回数と間隔の変化を追う。
生活指導を4つ並べ、直感的に正しそうな逆向きの指導を混ぜる。解法は、(1) 検査所見から感染と閉塞を除く、(2) 残った機能の問題を特定する、(3) その機能を助ける方向か妨げる方向かで各指導を判定する。
検査に異常がなく残尿もない頻尿と尿意切迫感は過活動膀胱。骨盤底筋訓練が有効。座位を長くする、水分を控える、尿意のたびにすぐ行くは、いずれも逆向きの指導になる。