次の文で示す症例で障害神経根として最も適切なのはどれか。「45歳の男性。荷物の搬送中に腰に激痛が走り、右下肢に痛みが生じている。近医にて腰椎椎間板ヘルニアと診断された。しゃがんだ状態から立ち上がる際に右膝の力が入らない。」
正答:1
正答:1
しゃがんだ状態から立ち上がるとき膝に力が入らないのは大腿四頭筋の筋力低下。大腿四頭筋を支配する主な神経根はL4。正答は1。
動作の障害から筋を特定し、その筋の神経根レベルを答えられるか。反射や感覚の記載がなく、筋力だけで決めさせる。
しゃがんだ姿勢から立ち上がる動作は膝関節の伸展で、担うのは大腿四頭筋。この筋の支配神経は大腿神経で、由来はL2〜L4、とくにL4が膝伸展の主体とされる。したがって障害神経根はL4。L4が押されるのはL3とL4の椎間で起きた後外側型ヘルニアの場合。L5が障害されれば長母趾伸筋の筋力低下と下腿外側から足背のしびれ、S1が障害されればアキレス腱反射の減弱と下腿後面から足底外側のしびれ、下腿三頭筋の筋力低下が出るが、いずれも膝伸展の障害では説明できない。
下肢の神経根はどれも「腰下肢痛」を起こすので、痛みの記述だけでは絞れない。決め手は運動の障害で、膝伸展=L4、足関節と母趾の背屈=L5、足関節底屈=S1。あわせて反射は膝蓋腱反射=L4、アキレス腱反射=S1。
腰神経根の代表所見:L4=大腿四頭筋(膝伸展)、膝蓋腱反射低下、下腿内側の感覚。L5=長母趾伸筋・前脛骨筋(背屈)、反射の変化は乏しい、下腿外側〜足背〜母趾の感覚。S1=下腿三頭筋(底屈)、アキレス腱反射低下、下腿後面〜足底外側〜小趾の感覚。誘発テストは、L5・S1でSLRテスト、L2〜L4で大腿神経伸展テスト(FNSテスト)。後外側型ヘルニアでは下位の神経根が障害されるので、L4が障害されるのはL3-L4間。
神経根の番号だけを並べ、運動の記述1つで絞らせる。解法は、(1) 障害された動作を筋に翻訳、(2) その筋の神経根を出す、(3) 他の根の代表所見が本例にないことを確認。
しゃがんだ状態から立ち上がれないのは膝伸展の障害で、担うのは大腿四頭筋。この筋の神経根はL4なので、障害神経根はL4。L5なら母趾の背屈、S1ならアキレス腱反射と底屈に所見が出るはずで、本例の記述と合わない。