次の文で示す症例で考えられる疾患はどれか。「65歳の女性。軽度の肥満。主訴は膝痛。膝の内側が動作開始時や疲労時に痛む。膝のロッキングはみられない。」
正答:3
正答:3
65歳・軽度肥満・膝内側の痛み・動作開始時痛・疲労時痛・ロッキングなし。年齢と部位と痛み方が変形性膝関節症に典型。正答は3。
膝痛の4疾患を、年齢層・痛む部位・ロッキングの有無で切り分けられるか。
変形性膝関節症は中高年に多く、肥満が危険因子。日本では内側の関節裂隙から狭くなる内反型が多いため、膝の内側が痛む。動作の開始時に痛み、動いているうちに軽くなり、疲労で再び痛むという経過が典型。ロッキング(関節が急に動かなくなる)は半月板の断裂片や関節内遊離体が挟まったときに起こるもので、変形性膝関節症の初期には出ない。腸脛靱帯炎は膝の外側で、ランニングなど屈伸の反復が誘因。内側滑膜ひだ障害(タナ障害)は若年者に多く、膝の内側に痛みとひっかかり感が出てロッキングを起こすこともある。膝蓋靱帯炎(ジャンパー膝)は10歳代に多く、膝の前面に痛みが出る。
内側の痛みという点でタナ障害と重なるので、年齢とロッキングの有無で分ける。タナ障害は若年でロッキングあり、変形性膝関節症は中高年でロッキングなし。設問がわざわざロッキングを否定しているのは、この分岐のため。
変形性膝関節症は一次性(加齢・肥満・遺伝)と二次性(外傷後・関節リウマチ後など)に分かれる。日本では内反変形(O脚)が多く、内側の荷重が増えて軟骨がすり減る。エックス線では関節裂隙の狭小化、骨棘形成、軟骨下骨の硬化、骨嚢胞。症状は動作開始時痛から始まり、進むと持続痛と可動域制限、正座困難になる。治療は減量、大腿四頭筋の強化、装具、鍼灸では犢鼻・内膝眼・陰陵泉・血海・梁丘などが用いられる。
膝痛の疾患を4つ並べ、痛む部位と年齢層を散らす。否定文(ロッキングはみられない)が最も紛らわしい肢を消す。解法は、(1) 年齢層で絞る、(2) 痛む部位で絞る、(3) 否定された所見でさらに絞る。
65歳、軽度肥満、膝の内側が動作開始時や疲労時に痛み、ロッキングはない。年齢・部位・痛み方のすべてが変形性膝関節症に一致する。腸脛靱帯炎は外側、タナ障害は若年でロッキングを伴いうる、膝蓋靱帯炎は10歳代で前面と、いずれもずれる。