次の文で示す症例で障害筋への局所治療穴として最も適切なのはどれか。「53歳の男性。最近、長時間歩くと、足がつる。今朝は、ウォーキング中に母指が屈曲する筋けいれんとともに下腿後面の深部に疼痛が生じたが、しばらく休むと軽快した。」
正答:1
正答:1
母趾が屈曲する筋けいれんで下腿後面の深部が痛む。責任筋は長母趾屈筋。この筋へ届くのは腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間にある飛揚。正答は1。
けいれんした指の動きから深部の筋を特定し、その筋に届く経穴を選べるか。下腿後面の深浅を区別できるかが要点。
母趾が屈曲するけいれんを起こすのは長母趾屈筋で、下腿後面の深層(深後方コンパートメント)にある。痛みが下腿後面の深部というのもこれに一致する。長時間歩いて起こり休むと軽快するのは労作性の要素。経穴のうち、飛揚は下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、崑崙の上方7寸にあり、解剖は腓腹筋・ヒラメ筋だが位置としては下腿後面の深層へ刺入できる部位で、長母趾屈筋へ届く。膝関は膝の内側で肝経の穴、合陽は膝窩の下方で膀胱経の穴だが腓腹筋の浅層、外丘は下腿外側で胆経の郄穴。
「足がつる」というだけで腓腹筋(こむら返り)を思い浮かべると合陽を選びやすい。設問は母趾が屈曲すると書いているので責任筋は長母趾屈筋で、これは深層。下腿後面は浅層(腓腹筋・ヒラメ筋)と深層(後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋)に分かれる。
下腿後面の深層3筋:後脛骨筋(足の内反・底屈)、長母趾屈筋(母趾の屈曲)、長趾屈筋(第2〜5趾の屈曲)。いずれも脛骨神経支配で、内果の後ろを通って足底へ入る。内果後方の並びは前から後脛骨筋腱・長趾屈筋腱・後脛骨動脈・脛骨神経・長母趾屈筋腱。長時間の歩行で下肢がつるときは、電解質の異常、脱水、末梢動脈疾患、腰部脊柱管狭窄症なども考える。
下腿の穴を経別に散らし、浅層と深層の区別で判定させる。解法は、(1) けいれんした部位の動きから筋を決める、(2) その筋が浅層か深層かを決める、(3) その層へ届く経穴を選ぶ。
母趾が屈曲するけいれんと下腿後面の深部の痛みから、責任筋は深層の長母趾屈筋。腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間にある飛揚がこの層へ届く。膝関は膝内側の肝経、合陽は下腿後面でも近位で浅層、外丘は下腿外側の胆経で、いずれも合わない。