次の文で示す病証が進行した場合、みられやすい症状はどれか。「39歳の女性。主訴は眼精疲労。長時間のデスクワークで目がかすむ。日頃から眠りが浅く、爪の血色が悪い。舌苔は薄白、脈は細数を帯びてきた。」
正答:2
正答:2
眼精疲労・浅い眠り・爪の血色不良は肝血虚。脈が細数を帯びてきたのは陰虚へ進んだしるしで、陰虚では盗汗が出る。正答は2。
血虚から陰虚へ進む流れを読み、陰虚に固有の症状を選べるか。「進行した場合」という条件が要点。
肝は血を蔵し目に開竅し筋を主る。肝血が不足すると目のかすみや眼精疲労、爪の色つやの悪さ、浅い眠りが出る。血は陰に属するので、血虚が長引けば陰液全体の不足すなわち陰虚へ進む。陰が不足すると相対的に陽(熱)が目立つ虚熱の状態になり、脈は細(血・陰の不足)に数(熱)が加わって細数になる。設問が「脈は細数を帯びてきた」と書いているのは、この移行を示すため。陰虚に固有の症状が盗汗で、眠っている間に汗が出て目覚めると止まる。消渇は口渇と多飲多尿が続くもの、厭食は食べ物を受けつけない食欲不振で脾胃の病証、譫語はうわごとで実熱が心神を乱したときの症状。
盗汗と自汗の区別が要点。盗汗は睡眠中に出て目覚めると止まり陰虚、自汗は日中に動くと出て気虚・陽虚。脈の細数は虚熱、数有力は実熱で、熱の虚実が違えば出る症状も違う(虚熱=盗汗・五心煩熱、実熱=譫語・煩躁)。
肝血虚の症状:目のかすみ・眼精疲労、めまい、爪の色が薄くもろい、四肢のしびれ・引きつり、こむら返り、月経量の減少、不眠、舌淡白、脈細。ここから肝陰虚へ進むと、五心煩熱、盗汗、口や咽の乾き、頬部の紅潮、舌紅少苔、脈細数が加わる。さらに肝陽上亢へ進めば、めまい・頭痛・耳鳴・のぼせ・易怒が出る。血虚→陰虚→陽亢という進み方を押さえると、症例の段階が判定できる。
「進行した場合」という条件で、現在の証ではなく次の段階の症状を選ばせる。解法は、(1) 現在の証を確定、(2) 舌脈の変化から進行方向を読む、(3) 進んだ先の証に固有の症状を選ぶ。
眼精疲労・爪の血色不良・浅い眠りは肝血虚。血は陰に属するので、血虚が長引けば陰虚へ進み、脈は細に数が加わって細数になる。陰虚に固有の症状は盗汗で、睡眠中に汗が出て目覚めると止まる。消渇・厭食・譫語はいずれも別の病機の症状。