次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。「31歳の男性。主訴は悪心・嘔吐。業務の繁忙とともに食欲がなくなり、上腹部の膨満感、胸脇部の脹痛を自覚するようになった。精神的な緊張によって噯気が頻回に起こる。脈は弦を認める。」
正答:4
正答:4
悪心・嘔吐と頻回の噯気は、気が下りずに上へ突き上げている状態。肝鬱気滞から胃気上逆に至った気逆証。正答は4。
気の失調の4類型(虚・陥・脱・逆)を、症状の向きで区別できるか。上へ向かう症状がそろっているのが手がかり。
気の失調は方向と量で分ける。気虚は気の量が足りない状態で、倦怠感・息切れ・自汗・脈弱。気陥は気虚が進んで持ち上げる力が落ち、内臓下垂・脱肛・久しい下痢が出る。気脱は気が急激に失われる危急の状態で、意識障害・冷汗・脈微。気逆は気が本来下るべきところを上へ突き上げる状態で、胃気上逆なら悪心・嘔吐・噯気・しゃっくり、肺気上逆なら咳嗽・喘息、肝気上逆なら頭痛・めまい・怒りが出る。本例は業務の繁忙という情志の誘因で肝鬱気滞となり、疏泄が乱れて胃の降濁を助けられなくなり、胃気が上逆した形。胸脇部の脹痛と脈弦も肝を示す。
気陥と気逆は方向が正反対なので、症状が上へ向かうか下へ向かうかで一発で分かれる。上=嘔吐・噯気・咳・頭痛、下=下垂・脱肛・久瀉。気脱は危急の状態なので、慢性の経過であれば消える。
気逆の3つの型:胃気上逆=悪心・嘔吐・噯気・呑酸・しゃっくり。肺気上逆=咳嗽・喘息。肝気上逆=頭痛・めまい・耳鳴・怒りっぽさ、甚だしければ吐血や失神。治法はそれぞれ和胃降逆、粛降肺気、平肝降逆。肝鬱気滞が下流でどの臓を乱すかで病証名が変わり、胃なら肝胃不和、脾なら肝脾不和、肺なら肝火犯肺になる。
気の失調4類型を並べ、方向の逆(気陥)と重症度の違う型(気脱)を混ぜる。解法は、(1) 症状の向きを確認、(2) 経過の急性・慢性を確認、(3) 誘因(情志か過労か)で上流の臓を確認。
気の失調は方向で分ける。悪心・嘔吐と頻回の噯気は上へ向かう症状なので気逆証。業務の繁忙という情志の誘因で肝鬱気滞となり、疏泄が乱れて胃の降濁を助けられず胃気が上逆した。気陥は下向き、気脱は危急、気虚は量の不足で、いずれも本例と合わない。