次の文で示す病証の治療方針として最も適切なのはどれか。「47歳の女性。最近よく口渇を感じるが、水分は口を潤す程度で少量しか飲めない。手足の皮膚が伸肌になってきた。舌質は紫暗、脈は濇を認める。」
正答:2
正答:2
口渇があるのに口を潤す程度しか飲めず、手足の皮膚がかさついてざらつく。舌質紫暗、脈濇。血が滞って津液が届かない血瘀なので、瘀血を除く。正答は2。
口渇を陰虚だけでなく血瘀からも説明できるか。舌質と皮膚の性状が瘀血を名指ししている。
口渇は津液が足りないときだけでなく、津液が届かないときにも起こる。血が滞れば津液を全身へ運ぶ経路が塞がれ、口の中は渇くのに実際には水が不足していないので、少ししか飲めない。手足の皮膚がかさついてざらつくのは肌膚甲錯と呼ばれ、血が皮膚を養えなくなった瘀血の所見。舌質が紫暗なのは血の滞りそのもの、脈濇はざらざらとして渋滞した触れ方で瘀血を示す。以上から血瘀で、治療方針は瘀血を除くこと。風邪を除くのは外感の急性期、痰湿を除くのは膩苔と滑脈があるとき、気滞を除くのは脹痛と脈弦があるときで、いずれも本例の所見と合わない。
口渇は陰虚・熱証・痰飲・血瘀のどれでも起こるので、口渇だけでは決まらない。飲み方(大量に飲みたがるか、口を潤す程度か)と舌脈で分ける。大量に冷たいものを欲しがれば実熱、少ししか飲めなければ津液の輸布の問題。肌膚甲錯という皮膚の所見は瘀血に特徴的。
瘀血の所見:刺すような固定した痛み(刺痛)、夜間に増悪、腫塊、皮膚の色素沈着や紫斑、肌膚甲錯(鮫肌)、口唇や爪の紫暗、舌質紫暗・瘀点瘀斑・舌下静脈の怒張、脈濇または結代。原因は気滞、気虚、寒凝、熱による血の煮つめ、外傷。治法は活血化瘀で、血海・膈兪・三陰交・太衝・合谷などが用いられる。膈兪は八会穴の血会で瘀血に頻用される。
口渇という共通症状から複数の証へ分岐させ、舌脈で1つに絞らせる。解法は、(1) 飲み方の記述を読む、(2) 皮膚・爪・口唇の色と性状を読む、(3) 舌質と脈で確認。
口渇があるのに口を潤す程度しか飲めないのは、津液が足りないのではなく届いていない状態。手足の鮫肌(肌膚甲錯)、舌質紫暗、脈濇はいずれも瘀血の所見なので、血が滞って津液を運べなくなっている。方針は瘀血を除くこと。風邪・痰湿・気滞はいずれも本例の舌脈と合わない。