「18歳の女性。新体操の選手で毎日の激しい練習と無理なダイエットをしていたら月経が止まった。近医で、利用できるエネルギー不足が原因の運動性無月経と言われた。」同じ原因で起こる合併症として最も考えられるのはどれか。
正答:2
正答:2
利用できるエネルギーの不足で視床下部性の無月経になるとエストロゲンが減り、骨吸収が進んで骨粗鬆症になる。正答は2。
運動性無月経の原因(利用可能エネルギー不足)から、同じ原因で起こるもう一つの合併症を導けるか。女性アスリートの三主徴の枠組み。
激しい練習に食事制限が重なると、運動で消費した分を差し引いて体が使えるエネルギーが不足する。生体は生命維持を優先して生殖機能を後回しにするので、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が抑えられ、下垂体・卵巣系が働かなくなって無月経になる。これが視床下部性(運動性)無月経。エストロゲンは骨吸収を抑えるはたらきをもつので、分泌が減れば骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減って骨粗鬆症に至る。この3つ、すなわち使えるエネルギーの不足、視床下部性の無月経、そして骨粗鬆症をまとめて女性アスリートの三主徴と呼ぶ。子宮筋腫はエストロゲン依存性に増大する良性腫瘍でエストロゲンが減る本例とは方向が逆、円形脱毛症は自己免疫の関与が考えられる別の病態、過敏性腸症候群は消化管の機能性疾患で、いずれも同じ原因では説明できない。
「同じ原因で起こる」という条件が要点で、単に若い女性に起こりうる病気を選ぶのではない。原因はエストロゲンの低下なので、エストロゲンが減って悪くなるもの(骨粗鬆症)と、エストロゲンが増えて悪くなるもの(子宮筋腫)を逆にしないこと。
女性アスリートの三主徴は、当初は摂食障害・無月経・骨粗鬆症とされたが、現在は使えるエネルギーの不足(Low Energy Availability)と、視床下部性の無月経、そして骨粗鬆症の3つで捉えられる。若年期に骨量のピークを作れないと、その後の骨量が生涯にわたって低くなる。疲労骨折の危険も高まる。対応は運動量の調整と摂取エネルギーの確保が基本で、体重や体脂肪率を過度に絞る指導は避ける。
若年女性に起こりうる病気を並べ、原因の共通性で絞らせる。解法は、(1) 症例の原因を1つに特定(エストロゲン低下)、(2) 各肢がそのホルモンの増減どちらで起こるかを判定、(3) 同じ向きのものを選ぶ。
激しい練習と食事制限で利用できるエネルギーが不足すると、生殖機能が後回しにされて視床下部性の無月経になる。エストロゲンが減ると骨吸収を抑える力が失われ、骨粗鬆症に至る。この3つが女性アスリートの三主徴。子宮筋腫はエストロゲンが増えて悪くなるので向きが逆、円形脱毛症と過敏性腸症候群は原因が違う。