左心不全の身体所見はどれか。
正答:4
正答:4
左心不全では肺にうっ血が起こるため、横になると苦しくなって上体を起こす起坐呼吸がみられる。正答は4。
心不全の所見を、肺のうっ血(左)と全身のうっ血(右)に振り分けられるか。
心臓は左右で受け持つ循環が違うので、どちらが弱るかで症状の出る場所が変わる。左心室が弱ると肺静脈から左心房へ血液が戻りにくくなり、肺にうっ血が起こる。すると労作時の呼吸困難、夜間の発作性呼吸困難、湿性ラ音、そして起坐呼吸が現れる。臥位では下半身の血液が胸腔へ戻って肺うっ血が強まるので、上体を起こすと楽になる。これが起坐呼吸。右心室が弱ると全身から右心房へ血液が戻りにくくなり、体循環にうっ血が起こる。頸静脈怒張、肝腫大、腹水、下肢の浮腫、体重増加が現れる。誤肢の3つはいずれも右心不全の所見である。
左右のどちらが弱るとどこに水が溜まるかを、血液の流れで追えば迷わない。左心が弱る→その手前の肺に溜まる→呼吸の症状。右心が弱る→その手前の全身の静脈に溜まる→むくみと肝腫大と腹水。「手前に溜まる」という一言で両方導ける。
左心不全が続くと肺高血圧をきたし、やがて右心不全も加わって両心不全になる。急性の左心不全では肺水腫となり、ピンク色の泡沫状の痰が出る。ニューヨーク心臓協会(NYHA)の分類は日常生活の制限の程度で1度から4度に分ける。鍼灸では、起坐呼吸のある人を臥位にしない、施術中に呼吸困難が強まったら中止する、体重の急増や下肢のむくみの増悪は心不全の悪化を疑って医療機関へ連絡する、といった配慮が必要になる。
心不全の所見を4つ並べ、片側の所見に反対側の所見を混ぜる。解法は、(1) 左心不全か右心不全かを問われているか確認、(2) 血液が「どこで滞るか」を追う、(3) 肺の症状か全身のむくみかで振り分ける。
左心不全の所見は起坐呼吸。腹水・下肢の浮腫・肝腫大はいずれも右心不全の所見。弱った心室の「手前」に血液が溜まると考えれば、左は肺、右は全身の静脈と決まる。