乳癌について正しいのはどれか。
正答:3
正答:3
乳癌の多くはエストロゲン受容体を持ち、女性ホルモンに依存して増殖する。正答は3。
乳癌の腫瘤の性状・好発部位・ホルモン依存性・治療の選択を言えるか。
乳癌は乳腺の上皮から生じる悪性腫瘍で、多くはエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体を持ち、女性ホルモンに依存して増殖する。この性質があるため、ホルモン療法(抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬)が有効な治療になる。したがって記述3が正しい。誤肢は3つとも逆である。乳癌の腫瘤は硬く、可動性に乏しく、多くは痛みを伴わない。痛みのないしこりだからこそ発見が遅れる。好発部位は乳房を4つに分けたうちの外上部(C領域)で、乳腺組織が最も多い部分にあたる。外下部ではない。治療は、早期であれば乳房温存手術に放射線療法を組み合わせる方法が広く行われており、乳房全摘術が一律に第一選択というわけではない。
痛みの有無は良悪の判断で重要で、痛みを伴うしこりは乳腺炎や乳腺症など良性のことが多く、痛みのない硬いしこりのほうが乳癌を疑う。「痛くないから大丈夫」という思い込みが受診の遅れにつながるので、施術所でも伝えるべき知識になる。好発部位の外上部は、自己触診で最も念入りに触るべき場所という実務にもつながる。
乳癌の危険因子は、初経が早い、閉経が遅い、出産歴がない、初産年齢が高い、授乳歴がない、肥満(閉経後)、飲酒、家族歴。いずれもエストロゲンにさらされる期間の長さと関係する。ホルモン受容体とHER2の有無で治療方針が分かれ、受容体陽性ならホルモン療法、HER2陽性なら分子標的薬が用いられる。乳腺炎・乳腺症は良性の乳腺疾患として臨床医学各論で扱われる。腋窩リンパ節への転移が多いため、術後にリンパ浮腫が起これば、これもリハビリテーションで扱う。
1疾患について、症状・部位・性質・治療を1肢ずつ並べ、3つを逆にする。解法は、(1) 痛みの有無を良悪の観点で確認、(2) 解剖学的に組織が多い部位を思い出す、(3) ホルモン依存性から治療を導く。
乳癌の多くはホルモン依存性。腫瘤は痛みを伴わず、好発部位は外下部ではなく外上部、治療は全摘が一律の第一選択ではなく早期なら温存手術と放射線。無痛性のしこりこそ疑う。