「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」最も考えられる障害神経はどれか。
正答:2
正答:2
人差し指と中指がしびれている。この2本の指の感覚を運ぶのは、肘の前を通る正中神経。正答は2。
しびれている指の並びから、どの神経が傷んだかを逆算できるか。
手の感覚は3本の神経が分け合う。親指から中指、および薬指の親指側までが正中神経、薬指の小指側と小指が尺骨神経、手の甲の親指側が橈骨神経の担当である。この症例では人差し指と中指がしびれているので、担当は正中神経。走行の面でも一致する。正中神経は上腕の内側を下りて肘の前面を通り、前腕へ入る。上腕骨の下端が折れて骨片が前へずれると、ちょうどこの部分で神経が引き伸ばされたり押されたりする。肘の前面に皮下出血が出ていることも、そこで組織が傷んだことを示している。誤肢はいずれも走行か担当領域が合わない。
神経の名前ではなく、しびれている指から入るのが確実。親指側から数えて3本半が正中神経、残り1本半が尺骨神経、と手のひらを見ながら覚える。走行も合わせて確認すると裏づけになる。肘の前を通るのが正中神経、肘の内側の後ろを通るのが尺骨神経で、後者はぶつけると小指がしびれる場所である。
この骨折では、正中神経のほかに橈骨神経や尺骨神経が傷むこともあり、どの神経が傷んだかで残る症状が変わる。正中神経が傷むと、親指を手のひらから離す動きや、親指と人差し指で輪をつくる動きができなくなる。多くは骨折の整復とともに回復するが、戻りが悪ければ神経の状態を調べる。施術所では、指のしびれの範囲を確認することで、どの神経の問題かを見当づけられる。
上肢の神経を4つ並べ、しびれの範囲から選ばせる。解法は、(1) しびれている指を担当する神経を出す、(2) その神経が受傷部位を通るかを確認する、(3) 担当領域が指でない神経を除く。
人差し指と中指のしびれは正中神経の担当。肘の前面を通るので、上腕骨の下端が折れて骨片が前へずれると傷みやすい。腋窩神経は肩、筋皮神経は前腕外側、尺骨神経は小指側で、いずれも合わない。