「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」最もよくみられる症候はどれか。
正答:1
正答:1
顔の筋がこわばって動きが減り、表情が変わらなくなる。パーキンソン病でよくみられる。正答は1。
振戦・すくみ足・寡動という組合せから病気を決め、そこでよくみられる顔の所見を選べるか。
じっとしているときに手が震え、歩き出そうとすると足が床に張りついて動かず、動作全体が遅く小さくなる。この3つが並べば、脳の黒質でドパミンをつくる細胞が減っていく病気を指す。この病気では顔の筋も同じようにこわばって動きが減るため、まばたきが少なくなり、笑ったり驚いたりしても表情が変わりにくくなる。これが仮面のように見えることから、そう呼ばれる。誤肢はいずれも別の場所が傷んだときの所見である。測定障害は目標に手を伸ばすと行き過ぎたり手前で止まったりするもので、小脳が傷んだときに出る。眼瞼下垂はまぶたを持ち上げる働きが落ちたもので、動眼神経の障害や重症筋無力症で出る。痙縮は手足を他人が動かそうとしたときに折りたたみナイフのような抵抗が出るもので、脳や脊髄の運動の通り道が傷んだときに出る。
この病気の筋のこわばりと、脳卒中などで出るこわばりは別物である。前者は最初から最後まで抵抗が一定で、歯車のようにカクカクと引っかかることもある。後者は動かし始めに強く抵抗して途中で急に抜ける。同じ「硬い」でも触った感じが違うので、実際に他動的に動かして確かめる。
この病気の4つの主な運動症状は、じっとしているときの震え、筋のこわばり、動作が遅く小さくなること、体の立て直しがきかなくなることである。加えて、におい・便通・血圧・睡眠といった運動以外の症状も早くから現れる。歩き出しの足が動かなくなる現象は、床の線や号令といった外からの手がかりで改善することが知られており、リハビリテーションではこれを使う。
1つの病気の症候を問い、別の場所が傷んだときの所見を並べる。解法は、(1) 症例文の3つの所見から病気を決める、(2) その病気で筋がどう変わるかを考える、(3) 顔に現れる形を選ぶ。
じっとしているときの震え、すくみ足、動作の遅さが並べばパーキンソン病。顔の筋もこわばって表情が変わりにくくなる仮面様顔貌がよくみられる。測定障害は小脳、眼瞼下垂は動眼神経、痙縮は運動の通り道の障害。