「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」歩行障害に対するリハビリテーションとして最も適切なのはどれか。
正答:2
正答:2
足が床に張りついて歩き出せないとき、外から一定のリズムを与えると足が出る。メトロノームを使う訓練が当てはまる。正答は2。
すくみ足の起こり方を理解して、それに合う訓練を選べるか。
この病気では、自分の内側から動作のきっかけと歩幅を出す仕組みが働きにくくなる。そのため歩き出しや方向を変えるとき、狭い場所を通るときに足が出なくなる。ところが、外から手がかりを与えると同じ動作が急にできるようになる。音のリズム、床に引いた線、号令、目標物などがその手がかりになり、内側の仕組みを迂回して動作を引き出す。メトロノームの音に合わせて歩く訓練は、この外からの手がかりを使う方法にあたる。誤肢はこの仕組みに合わない。
「歩けないのだから歩く練習をさせる」と考えると1や4を選んでしまう。この病気の歩行障害は、筋力が足りないのではなく動作を始める仕組みが働きにくいことによる。だから鍛えるのではなく、きっかけを外から与える。何が足りないのかを一言で言えるかどうかで選ぶ肢が変わる。
外からの手がかりには、聴くもの(メトロノーム、号令、音楽)、見るもの(床の横線、目標物、レーザーポインタ)、触れるもの(体を軽く押す)がある。実際の生活では、玄関や廊下の曲がり角など決まった場所ですくみが起きやすいので、そこに線を引くといった工夫が使われる。方向転換は大きく円を描くように回る、狭い場所を避けるといった環境の整えも合わせて行う。
訓練の内容を4つ並べ、一見もっともらしい負荷の高いものを混ぜる。解法は、(1) その歩行障害が何によるかを一言で言う、(2) 足りないものを補う方向の手立てを探す、(3) 転倒の危険を増やすものを除く。
すくみ足には、メトロノームのような外からのリズムを与える訓練が合う。速く歩かせる、継ぎ足で歩かせる、坂道で訓練するのは、いずれも転倒の危険を増やすだけで、動作のきっかけを補わない。