次の文で示す経脈病証はどれか。「55歳の女性。3週間前に肩の上部から上肢後面が痛み始めた。1週間前から耳の後ろと目尻が痛む。汗をかきやすい。」
正答:4
正答:4
肩の上部から上肢後面の痛み、耳の後ろと目尻の痛み、発汗しやすいという組合せは、手の少陽三焦経の経脈病証。三焦経は上肢後面の中央を上り、肩から耳の後ろをめぐって目尻(外眼角)に至る。正答は4。
経脈病証を、走行上の症状(経絡走行上の病証)と関連する症状(経絡関連病証)の両方から同定できるか。特に三焦経の「汗」「目尻」「耳の後ろ」という手がかり。
手の少陽三焦経は薬指末端から手背・前腕後面の中央を上り、肘頭・上腕後面を経て肩に至り、頸部から耳の後ろをめぐって耳中に入り、耳の前に出て目尻(外眼角)で終わる。したがって走行上の痛みは上肢後面・肩上部・耳後・目尻に出る。さらに三焦経の経絡関連病証には発汗(自汗)、耳鳴・難聴、咽喉の腫れがある。本例は走行の痛みと発汗がそろっており三焦経。手の太陽小腸経も上肢後面を走るが内側寄りで、肩甲部と頸の腫れ・難聴が主で目尻や汗は特徴にならない。手の太陰肺経・手の少陰心経は上肢前面(内側)の経で、後面の痛みは説明できない。
手の三陽経(大腸・小腸・三焦)はいずれも上肢後面を上って頭に至るため、分布だけでは迷う。外側(橈側)が大腸経、中央が三焦経、内側(尺側)が小腸経。顔では大腸経が鼻翼、小腸経が頬骨から耳、三焦経が耳後から目尻。「汗」が出てくるのは三焦経の特徴。
経脈病証は『霊枢』経脈篇の是動病・所生病に由来し、国家試験では走行上の痛み・しびれ(経絡走行上の病証)と、その経が関わる器官や臓腑の症状(経絡関連病証)を組み合わせて出題する。三焦経:耳後・肩・上肢後面の痛み、耳鳴・難聴、咽喉腫痛、汗。小腸経:頷・頸の腫れ、振り返れない、難聴、肩甲・上腕後面の痛み。大腸経:歯痛、鼻出血、喉の腫れ、上肢前外側の痛み。
上肢後面という共通部位で手の三陽を迷わせ、耳・目尻・汗という三焦経固有の手がかりで決めさせる。解法は、(1) 前面か後面か(後面なら陽経)、(2) 後面の内・中・外、(3) 顔の到達点と関連病証(汗・耳)で確定。
手の少陽三焦経は薬指から前腕・上腕の後面中央を上り、肩から耳の後ろをめぐって目尻に至る。経脈病証は走行上の痛み(上肢後面・肩・耳後・目尻)と関連病証(発汗・耳鳴・難聴・咽喉腫痛)。本例は肩上部〜上肢後面の痛み、耳後と目尻の痛み、汗をかきやすいがそろい三焦経。小腸経は後面内側で頸の腫れ・難聴、大腸経は後面外側で歯・鼻・喉、肺経・心経は前面。