次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。「32歳の男性。5日前に雨天の中、長時間の歩行をした。その翌日に微熱と発汗がみられた。現在は、倦怠感と食欲不振、水様便がみられる。」
正答:2
正答:2
雨中の歩行で湿邪を受け、翌日に微熱・発汗という表証が出たが、現在はそれが去り、倦怠感・食欲不振・水様便という脾の働きが落ちた裏の虚の症状が残っている。病位は裏、病勢は虚で裏虚証。正答は2。
八綱のうち表裏(病位)と虚実(病勢)を組み合わせ、時間経過で表証から裏証へ移ったことを読み取れるか。
八綱弁証では、病位を表(皮毛・肌腠・経絡)と裏(臓腑)、病勢を虚(正気の不足)と実(邪気が盛ん)で分ける。本例は5日前の雨中歩行で湿邪(外感)を受け、翌日に微熱・発汗が出た。これは表証の段階で、発汗を伴うので表虚の像だった。しかし「現在は」倦怠感・食欲不振・水様便で、発熱や悪寒といった表証はもう無い。湿邪が脾胃に及び運化が弱った結果、気が不足して倦怠感、受納が落ちて食欲不振、水湿が下って水様便が出ており、臓腑(裏)の正気不足(虚)の病態。したがって裏虚証。設問が問うのは「現在」の病証であり、過去の表証で答えない。
症例文が時系列で書かれ、前半(表証)と後半(裏証)が混在する。「現在は」の一語が問われている時点を決める。湿邪は脾を侵しやすく、外感から内傷(脾虚)へ移る典型的な流れ。発汗=表虚と即断して1を選ばない。
八綱は陰陽(総括)、表裏(病位)、寒熱(病性)、虚実(病勢)の4組。弁証はまず病位(表裏)を定め、次に病性(寒熱)、病勢(虚実)を判断し、最後に陰陽で総括する。表証は悪寒発熱・頭痛・脈浮が基本で、汗の有無で表虚(有汗)・表実(無汗)に分ける。裏証は臓腑の症状で、虚実は正気と邪気の盛衰で決める。表から裏へ、実から虚へと移る経過を「伝変」としてとらえる。
時系列の症例で、前半の手がかり(微熱・発汗)で表虚、後半の手がかり(倦怠・食欲不振・水様便)で裏虚が導かれ、「現在」を読み落とすと1へ誘導される。解法は、(1) 問われている時点を確定、(2) 表証の有無、(3) 虚実の判定。
八綱弁証は病位(表裏)・病性(寒熱)・病勢(虚実)を組み合わせ陰陽で総括する。本例は雨中歩行で湿邪を受け、翌日に微熱・発汗の表証が出たが、現在は表証が消え、倦怠感・食欲不振・水様便という脾の運化失調=裏の虚証が残っている。したがって裏虚証。発汗だけで表虚と決めず、問われている時点(現在)で判定する。