次の文で示す病証に対する鍼の補瀉手技で適切なのはどれか。「21歳の男性。昨日、薄着で外出したところ、今朝から悪寒と頭痛を自覚した。咳、痰はみられない。脈は浮緊を認める。」
正答:1
正答:1
薄着での外出後の悪寒・頭痛、脈浮緊は風寒の邪が表にある表実寒証。実証には瀉法を用いる。選択肢のうち瀉法にあたるのは、鍼孔を開いて邪を出す開闔の瀉法(押手を揺るがせて鍼孔を閉じない)。正答は1。
表実証=瀉法という判断と、古典的な補瀉手技(開闔・呼吸・徐疾・捻転)のどちらが補でどちらが瀉かを区別できるか。
脈浮は表、緊は寒・実を示し、悪寒・頭痛・無汗に近い状態から表実寒証と判断できる。実証には邪を出す瀉法を行う。開闔補瀉では、補法は抜鍼後すぐに鍼孔を押さえて閉じ、正気を留める。瀉法は鍼孔を揺るがして開いたままにし、邪気を外へ出す。したがって「刺入後、押手を揺るがせる」は鍼孔を開く瀉法。呼吸補瀉では補法が呼気時に刺入し吸気時に抜鍼、瀉法がその逆。徐疾補瀉では補法がゆっくり刺入して速く抜き、浅く刺して後に深くする、瀉法が速く刺入してゆっくり抜く。捻転補瀉では細かく軽く回すのが補、大きく強く回すのが瀉とされる。2・3・4はいずれも補法側の操作。
各補瀉法で補と瀉が対になっているので、どちらが補かを一つ一つ固定する。開闔:閉じる=補、開く=瀉。呼吸:呼気刺入・吸気抜鍼=補。徐疾:徐入疾出=補。迎随:流注に沿う=補。捻転:小さく=補。設問が「瀉法」を求めているか「補法」を求めているかは、証(虚か実か)から判断する。
『霊枢』小鍼解の徐疾補瀉、『素問』調経論の開闔補瀉、『難経』七十八難の呼吸補瀉、七十九難の迎随補瀉が古典の補瀉手技の出典。日本の近代鍼灸では、補法は左手で皮膚を摘まみ軽く回旋させながら徐々に刺入し、抜鍼後に皮膚を按圧して鍼孔を閉じる、とされる。表実寒証の治療穴は風門・大椎・合谷・列欠などで、瀉法または灸頭鍼で散寒解表をはかる。
補法の操作を3つ、瀉法を1つ置き、証の判断(表実→瀉)と手技の補瀉を両方問う二段構え。解法は、(1) 脈浮緊・悪寒頭痛=表実寒→瀉法、(2) 各肢を補か瀉かに分類、(3) 瀉だけを選ぶ。
悪寒・頭痛・脈浮緊は風寒が表にある表実寒証で、治療は瀉法。古典的な補瀉手技では、開闔補瀉が鍼孔を閉じれば補・揺るがして開けば瀉、呼吸補瀉が呼気刺入・吸気抜鍼で補、徐疾補瀉が徐入疾出で補、捻転は小さく回せば補。本例で瀉法にあたるのは、押手を揺るがせて鍼孔を開く操作。他の3つは補法側。