次の文で示す症例で、病態把握を目的に実施する徒手検査法はどれか。「50歳の女性。主訴は右手関節橈側の痛みと腫脹。最近家事が忙しく徐々に症状が出現し、特に母指を動かすと強い疼痛がある。」
正答:4
正答:4
手関節橈側の痛みと腫脹で母指を動かすと強く痛む。ドケルバン病なのでアイヒホッフテスト。正答は4。
痛む部位と誘発する動きから病態を決め、その病態の誘発テストを選べるか。誤肢は肘と手根管の検査。
手関節の橈側、母指の付け根あたりに痛みと腫脹があり、母指を動かすと強く痛むのは、手背第1区画すなわち長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の腱鞘炎、ドケルバン病。家事や育児で母指を反復して使うのが誘因になる。誘発テストはアイヒホッフテストで、母指を握り込ませて手関節を尺屈させ、手関節橈側から母指の付け根に痛みが出れば陽性。フィンケルシュタインテストも同じ病態をみる。チェアテストは椅子を持ち上げて上腕骨外側上顆に痛みが出るかをみる検査、トムゼンテストは抵抗下に手関節を背屈させて同じく外側上顆炎をみる検査、ファレンテストは手関節を屈曲位に保って手根管の絞扼を誘発する検査。
手関節部の検査であるファレンテストと混同しやすいが、ファレンテストがみるのは正中神経の絞扼で、症状はしびれ。本例は痛みと腫脹で神経症状の記載がなく、母指の運動で誘発されるので腱鞘炎。チェアテストとトムゼンテストはどちらも肘の外側上顆炎の検査で、部位が違う。
ドケルバン病は手背第1区画(長母指外転筋腱・短母指伸筋腱)の狭窄性腱鞘炎。妊娠・産後や育児期の女性、手を酷使する職業に多い。誘発テストはアイヒホッフテスト(母指を握り込んで尺屈)とフィンケルシュタインテスト(検者が母指を引いて尺屈)。局所治療穴は列欠・陽渓・偏歴など。ばね指(弾発指)は指の屈筋腱の腱鞘炎で、A1プーリー部の圧痛と弾発現象が特徴。
上肢の徒手検査を4つ並べ、部位(肘・手関節)と病態(腱鞘炎・神経絞扼)を散らす。解法は、(1) 痛む部位を確認、(2) 誘発する動きから傷む構造を決める、(3) その構造の検査を選ぶ。
手関節橈側の痛みと腫脹で母指を動かすと強く痛むのはドケルバン病。誘発テストは母指を握り込ませて手関節を尺屈させるアイヒホッフテスト。チェアテストとトムゼンテストは肘の外側上顆炎、ファレンテストがみるのは手根管の絞扼で、それの検査で、部位も病態も違う。