次の文で示す症例で拘縮がみられる可能性が最も高い筋はどれか。「68歳の女性。変形性股関節症による左股関節痛があり、トーマステスト陽性。恥骨結合下縁の高さで縫工筋のすぐ外方陥凹部にある筋に顕著な圧痛がある。エリーテスト陽性。」
正答:2
正答:2
エリーテスト陽性は大腿直筋の短縮を示す。恥骨結合下縁の高さで縫工筋のすぐ外方という圧痛部位も大腿直筋の走行にあたる。正答は2。
2つのテストの陽性所見と圧痛部位を突き合わせ、拘縮している筋を1つに絞れるか。
トーマステストは仰臥位で対側の股関節を屈曲させたとき患側の大腿が持ち上がるもので、股関節屈筋群の拘縮を示す。エリーテストは腹臥位で膝を屈曲させたとき患側の骨盤が持ち上がるもので、大腿直筋の短縮を示す。本例は両方が陽性なので、股関節屈筋群のうち膝も伸展させる二関節筋、すなわち大腿直筋が拘縮していると絞れる。さらに圧痛の部位が恥骨結合下縁の高さで縫工筋のすぐ外方の陥凹部と書かれており、大腿前面で縫工筋の外側に位置するのは大腿直筋。長内転筋と恥骨筋は縫工筋より内側の内転筋群、大腿筋膜張筋は縫工筋よりさらに外側で腸脛靱帯へ移行する。
トーマステスト陽性だけなら腸腰筋(第29回問134)だが、本例はエリーテストも陽性なので大腿直筋に絞られる。2つのテストが両方陽性のとき、共通して説明できる筋を選ぶ。圧痛部位の記述(縫工筋のすぐ外方)が最終確認になる。
股関節まわりの徒手検査:トーマステスト=股関節屈筋群の拘縮(主に腸腰筋)。エリーテスト=大腿直筋の短縮。オーバーテスト=腸脛靱帯・大腿筋膜張筋の短縮。パトリックテスト=股関節と仙腸関節の病変。トレンデレンブルグ徴候=中殿筋の機能不全。大腿前面の筋の並びは、内側から長内転筋・恥骨筋・腸腰筋・縫工筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋。縫工筋は上前腸骨棘から斜めに内下方へ走るので、その外側が大腿直筋になる。
股関節まわりの筋を4つ並べ、内転筋群と前面の筋を混ぜる。解法は、(1) 各テストが評価する筋を出す、(2) 両方を満たす筋に絞る、(3) 圧痛部位の記述で確認。
トーマステストは股関節屈筋群の拘縮、エリーテストは大腿直筋の短縮を示す。両方が陽性なら、股関節も膝もまたぐ大腿直筋が拘縮していると絞れる。圧痛部位が恥骨結合下縁の高さで縫工筋のすぐ外方というのも大腿直筋の走行に合う。長内転筋と恥骨筋は縫工筋の内側、大腿筋膜張筋はさらに外側。