次の文で示す症例でみられるのはどれか。「70歳の女性。数年前から動作緩慢になり、現在は丸薬丸め運動も出現してきた。」
正答:2
正答:2
動作緩慢に丸薬丸め運動(安静時振戦)が加わるのはパーキンソン病。筋強剛の型として歯車現象がみられる。正答は2。
パーキンソン病の四徴を知り、そのうち本例で加わりうる所見を選べるか。誤肢は別疾患の徴候。
パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経が変性する疾患で、安静時振戦・筋強剛・動作緩慢・姿勢反射障害の四徴が特徴。丸薬丸め運動は、母指と示指をこすり合わせるような安静時振戦の呼び名で、パーキンソン病に典型的。筋強剛は他動的に関節を動かしたときの抵抗で、カクカクと断続的に感じられるのが歯車現象。パーキンソン病では四徴のうち複数がそろうので、動作緩慢と安静時振戦がある本例に歯車現象が加わるのは自然。無汗症は発汗が失われる状態で、パーキンソン病では逆に発汗過多が問題になることが多い。ガワーズ徴候は床から立ち上がるときに体をよじ登る動作で、近位筋の筋力低下すなわち筋ジストロフィーなどを示す。ホフマン反射陽性は上肢の錐体路徴候で、頸髄症などの中枢性の障害を示す。
パーキンソン病は錐体外路の疾患なので、錐体路徴候(ホフマン反射、バビンスキー徴候、腱反射亢進)は出ない。この区別が最大の分かれ目。丸薬丸め運動という表現を安静時振戦と読み替えられるかも要点で、この語だけでパーキンソン病が確定する。
パーキンソン病の四徴:安静時振戦(4〜6Hz、丸薬丸め様、動作で軽減)、筋強剛(歯車現象・鉛管現象)、動作緩慢(無動)、姿勢反射障害(後方突進、小刻み歩行、すくみ足)。非運動症状として便秘、起立性低血圧、嗅覚低下、レム睡眠行動異常、うつ、脂漏、発汗異常。仮面様顔貌、小字症も特徴。パーキンソン症候群(薬剤性・血管性・多系統萎縮症など)との鑑別が要る。
神経学的徴候を4つ並べ、錐体路徴候と筋疾患の徴候を混ぜる。解法は、(1) 症例の疾患を確定、(2) その疾患が錐体路か錐体外路か筋かを決める、(3) 系統の合う徴候を選ぶ。
動作緩慢に丸薬丸め運動という安静時振戦が加わるのはパーキンソン病。四徴のうち筋強剛は他動運動で断続的な抵抗として感じられ、これが歯車現象。無汗症はパーキンソン病では逆で発汗過多が多く、ガワーズ徴候は筋疾患、ホフマン反射陽性は錐体路徴候で、いずれも合わない。パーキンソン病は錐体外路の疾患なので錐体路徴候は出ない。