「69歳の男性。主訴は両側の耳鳴り。3か月前から高音域の聴力低下を自覚。相手の言葉が聞き取りにくい。めまい、耳閉塞感、耳漏はない。」原因疾患として最も適切なのはどれか。
正答:1
正答:1
69歳で両側性、高音域から落ち、言葉が聞き取りにくい。めまい・耳閉塞感・耳漏がない。加齢性難聴。正答は1。
難聴の原因疾患を、年齢・左右差・障害される周波数・随伴症状の有無で切り分けられるか。
加齢性難聴は内耳の有毛細胞が加齢に伴って失われるもので、両側性・対称性に進み、高音域から聴力が落ちる。子音が聞き取りにくくなるため、音は聞こえるのに言葉が分からないという語音明瞭度の低下が起こる。本例は69歳、両側、高音域、言葉が聞き取りにくいとすべて一致する。慢性中耳炎では耳漏や鼓膜の所見を確認するが、耳漏がない例もある。伝音難聴だけでなく混合難聴を呈することもある。突発性難聴は片側に突然起こり、しばしばめまいを伴う。耳管狭窄症は耳閉塞感や自声強聴が主で、鼓膜の陥凹がみられる。本例では高齢、両側性、高音域の低下、言葉の聞き取りにくさ、3か月の経過を合わせて加齢性難聴を選ぶ。随伴症状がないという情報だけで、他の疾患が完全に除外されるわけではない。
めまいは突発性難聴の必須症状ではない。ないから除外するのではなく、急に起きたか、通常片側かという経過や左右差を確認する。本問では年齢、両側性、高音域の低下、聞き取りにくさを総合して加齢性難聴を選ぶ。
加齢性難聴の特徴:両側性・対称性、高音域から低下、語音明瞭度の低下(音は聞こえるが言葉が分からない)、リクルートメント現象(小さい音は聞こえないのに大きい音がうるさく響く)、耳鳴を伴うことが多い。進行は緩徐で、コミュニケーションの障害から社会的孤立や認知機能低下につながることがある。補聴器の適応。突発性難聴は通常片側に突然起こり、めまいがなくても速やかな医療評価が必要である。一定時間を過ぎたら受診しても意味がない、と判断しない。騒音性難聴は4000Hz付近が特徴的に落ちる(c5-dip)。
年齢、発症の速さ、左右差、障害される周波数、随伴所見を合わせて最も適切な疾患を選ぶ。症状が一つないだけで他の疾患を完全に除外しない。
69歳、両側性、高音域からの聴力低下、言葉の聞き取りにくさを総合して加齢性難聴を選ぶ。めまいがないというだけでは突発性難聴を除外できない。急な聴力低下は速やかな医療評価につなげる。