施灸により胃運動亢進をきたす反射の遠心路を構成するのはどれか。
正答:4
正答:4
施灸(体性感覚刺激)で胃運動が亢進する反射は、求心路を体性感覚神経、遠心路を自律神経とする体性―内臓反射(体性―自律神経反射)。遠心路は自律神経の節前線維(有髄B線維)と節後線維(無髄C線維)で構成されるので、正答は「B線維とC線維」。
反射弓の「遠心路」が自律神経であること、そして自律神経は節前線維が有髄B線維・節後線維が無髄C線維で構成されることを、神経線維の分類(Aα・Aβ・Aγ・Aδ・B・C)と結びつけて答えられるか。
体性―内臓反射は、皮膚・筋などの体性感覚受容器からの入力が中枢に達し、反射性に自律神経を介して内臓の反応を起こす反射である。消化管運動は迷走神経(副交感神経)が亢進、内臓神経(交感神経)が抑制の向きに調節しており、動物実験では後肢への体性刺激が胃運動を亢進させ、その遠心路は迷走神経とされる(脊髄や迷走神経を切ると消え、内臓神経を切っても残る)。自律神経は中枢から自律神経節までの節前ニューロンと、節から効果器までの節後ニューロンの2段でできていて、節前線維は細い有髄のB線維、節後線維は無髄のC線維。よって施灸による胃運動亢進反射の遠心路は「B線維とC線維」。求心路は皮膚の熱刺激を伝えるAδ線維・C線維だが、問われているのは遠心路である。
最大の混同は「求心路」と「遠心路」。施灸刺激を伝えるのはAδ・C線維だが、それは反射の入口。胃に命令を出す出口は自律神経で、線維分類ではB(節前)とC(節後)。C線維が求心路にも遠心路(節後)にも出てくるのでCだけ見ると迷う。もう一つは交感・副交感の区別で、胃運動亢進は迷走神経(副交感)だが、節前B・節後Cという線維構成は交感神経でも副交感神経でも同じなので、線維分類で答える限り正答は変わらない。
神経線維は伝導速度と太さでA(α・β・γ・δ)・B・Cに分けられる。Aα:骨格筋の運動と筋紡錘・腱受容器からの求心(Ia・Ib)、Aβ:触圧覚・振動、Aγ:筋紡錘(錐内筋)の運動、Aδ:鋭い痛み・温度覚、B:自律神経の節前線維(有髄)、C:自律神経の節後線維と鈍い痛み・温度覚(無髄)。鍼灸の治効機序では、体性―内臓反射の遠心路が自律神経であることを、灸の血圧反応(第29回・第34回)や胃運動(本問)など効果器を変えて繰り返し問う。腹部への体性刺激は逆に交感神経を介して胃運動を抑制する点も覚えておく。
Aδ・Cを見た瞬間に「灸の熱痛を伝える線維」と結びつけて選んでしまう引っかけ。設問の「遠心路」を「求心路」に読み替えると3が正答になる作り。解法は、(1) 遠心路か求心路かを確定、(2) 遠心路なら効果器が内臓か骨格筋かを確定、(3) 内臓なら自律神経=節前B・節後C、と進む。
施灸で胃運動が亢進する反射は体性―内臓反射で、皮膚の温熱・侵害受容器→Aδ・C線維(求心路)→中枢→自律神経(遠心路)→胃という反射弓をとる。胃運動を亢進させる遠心路は迷走神経で、自律神経は節前線維が有髄B線維、節後線維が無髄C線維。したがって遠心路を構成するのはB線維とC線維。Aα・Aγは骨格筋への運動線維、Aβは触圧覚、Aδ・Cは求心路なので遠心路にはならない。問題文が「遠心路」か「求心路」かを最初に確定する。