チアノーゼの原因とならないのはどれか。
正答:1
正答:1
皮膚や粘膜が暗紫赤色に見えるチアノーゼは、毛細血管を流れる血液に還元(脱酸素化)ヘモグロビンが一定量を超えて含まれたときに起こる。ヘモグロビンそのものが少ない貧血では還元ヘモグロビンの絶対量が閾値に達しにくく、チアノーゼは現れにくい。よって原因とならないのは貧血。
チアノーゼが「酸素飽和度の低さ」ではなく「還元ヘモグロビンの絶対量」で決まることを理解し、貧血で出にくく多血症で出やすいという逆説を説明できるか。あわせて左心不全・ファロー四徴症・COPDがそれぞれどの経路で還元ヘモグロビンを増やすかを言えるか。
チアノーゼは動脈血100mL中の還元ヘモグロビンがおよそ5g以上になると明らかになる。この条件は「還元ヘモグロビンの量」であって「割合」ではないため、ヘモグロビン濃度が高い多血症では軽い低酸素でも出やすく、ヘモグロビン濃度が低い貧血では酸素飽和度が下がっても還元ヘモグロビンが5g/100mLに届かず出にくい。これが貧血がチアノーゼの原因にならない理由である。左心不全では左室の拍出低下から左房・肺静脈がうっ滞して肺うっ血を起こし、肺でのガス交換が障害されて動脈血の酸素化が落ちる。ファロー四徴症は心室中隔欠損と肺動脈狭窄のため右室の静脈血が左室へ流れ込む右→左短絡を持ち、酸素化されない血液が体循環に混じる。COPDは慢性の気流閉塞で換気が障害され低酸素血症になる。いずれも還元ヘモグロビンを増やす。
「貧血=酸素が足りない=チアノーゼ」と短絡しやすいが、チアノーゼの条件は還元ヘモグロビンの量であって酸素不足そのものではない。貧血の皮膚所見は蒼白、チアノーゼの皮膚所見は暗紫赤色で、同じ「色の異常」でも逆方向。多血症はチアノーゼが出やすい側。中心性(心肺・短絡による動脈血の低酸素)と末梢性(末梢循環不全・寒冷による局所の酸素抜き取り増加)の区別も押さえる。
チアノーゼは中心性と末梢性に分ける。中心性は動脈血そのものの酸素化が悪い場合で、右→左短絡の先天性心疾患、肺疾患(COPD・肺炎・肺水腫)、左心不全による肺うっ血などが原因。口唇・舌・口腔粘膜にも出る。末梢性は動脈血は正常だが末梢で血流が遅く酸素が多く抜き取られる場合で、末梢循環不全・寒冷・静脈うっ滞(右心不全・静脈血栓症)が原因。四肢末端に出て粘膜には出にくい。貧血は酸素運搬能が低下しても還元ヘモグロビンが増えないので、チアノーゼの鑑別では「出ない側」の代表として覚える。
「原因とならない」の否定形で、しかも貧血という「酸素不足っぽい」語を置いて選びにくくしている。残り3つは心・短絡・肺の代表疾患で、いずれも還元ヘモグロビンを増やす王道。解法は、(1) チアノーゼの条件=還元ヘモグロビンの量、(2) ヘモグロビンが少ない貧血は条件を満たせない、(3) 他の3つは低酸素血症または短絡で条件を満たす。
皮膚・粘膜が暗紫赤色になるチアノーゼの条件は、毛細血管を流れる血液中の還元ヘモグロビンの絶対量(約5g/100mL以上)であって割合ではない。ヘモグロビンが少ない貧血では条件を満たせず蒼白になるだけで、逆にヘモグロビンが多い多血症では出やすい。左心不全は肺うっ血からガス交換障害、ファロー四徴症は右→左短絡、COPDは換気障害と、それぞれ還元ヘモグロビンを増やして原因になる。「原因とならない」のは貧血。