「30歳の男性。右手小指のしびれを主訴に受診。手関節の可動域制限はないが、右肘関節の屈曲可動域は120度であった。幼少期に右肘関節骨折の治療歴がある。」身体所見上認められるのはどれか。
正答:2
正答:2
幼いころに肘を折った人の肘が、伸ばしたときに外へ開きすぎる形になっている。正答は2。
小児の肘の骨折が成長のあとに残す変形を言えるか。
肘を伸ばして手のひらを前に向けたとき、前腕は上腕の線に対してわずかに外へ開く。この角度が正常より大きくなった状態を外反肘という。子どものころに上腕骨の下端の外側を折り、そこがずれたまま、あるいは骨の成長する部分が傷んだまま治ると、成長とともに外へ開く角度が増していく。この症例は幼少期に肘を折った治療歴があり、肘の曲がる角度も制限されているので、変形が残っていると読める。したがって認められるのは外反肘。誤肢は別の原因による所見である。肘を曲げる力が落ちるのは筋皮神経が傷んだとき。手首が垂れるのは橈骨神経、親指の付け根がやせて親指を手のひらから離せなくなるのは正中神経が傷んだときで、いずれも骨の変形ではない。
神経が傷んだ所見と、骨が変形した所見を混ぜて並べているのがこの設問の作り。症例文にある「幼少期の骨折」という手がかりから、まず骨の話だと決めてしまえば、残り3つは消える。変形の名前は、前腕が外へ開くのが外反肘、内へ入るのが内反肘で、方向で覚える。
外反肘では、肘の内側の後ろを通る神経が引き伸ばされ続けるため、何年もたってから小指側のしびれと手のひらの筋のやせが出てくることがある。骨折から症状までの間隔が長いので、本人も骨折と結びつけていないことが多い。内反肘は上腕骨の下端が内側へずれて治ったときに生じ、見た目の問題が主になる。施術所で小指側のしびれを訴える人には、肘の形と過去の骨折を確認する。
骨の変形と神経の麻痺による所見を混ぜて並べる。解法は、(1) 症例文の手がかり(骨折の既往、可動域の制限)から骨の話か神経の話かを決める、(2) 該当する系統の所見を選ぶ、(3) 変形の方向を確認する。
幼少期の肘の骨折の治療歴があり、肘の曲がる角度も制限されているので、残っているのは外反肘。肘の屈筋力低下・下垂手・猿手はいずれも神経が傷んだときの所見で、骨の変形ではない。