「30歳の男性。右手小指のしびれを主訴に受診。手関節の可動域制限はないが、右肘関節の屈曲可動域は120度であった。幼少期に右肘関節骨折の治療歴がある。」障害神経はどれか。
正答:4
正答:4
小指がしびれ、肘に古い骨折の跡がある。肘の内側の後ろを通る神経が、年月をかけて引き伸ばされてきた。正答は4。
しびれの範囲と、肘の変形という背景を結びつけて神経を決められるか。
小指と薬指の小指側の感覚を担うのは尺骨神経で、この神経は肘の内側の後ろにある浅い溝を通る。肘が外へ開く形に変形すると、この溝を通る神経は伸ばされた側に置かれ続けるため、年月をかけて少しずつ傷んでいく。骨折から何年もたってから小指のしびれが出てくるのはこのためである。手首の可動域に制限がなく、手首より先の問題ではないことも、肘の高さでの障害と合う。したがって障害されているのは尺骨神経。誤肢はいずれも担当する範囲が違う。
しびれている指から神経を決めるのが確実。小指なら尺骨神経、と一対一で対応する。そのうえで、どこで傷んだかを背景から絞る。手首の高さで傷めば手の甲の感覚が残り、肘の高さで傷めば手の甲の小指側も鈍くなる。この症例は肘の変形が背景にあるので肘の高さになる。
尺骨神経は肘の内側の後ろの溝を通ったあと、2つの筋の起始部の間にできる狭い通り道をくぐる。ここで押されるのが肘部管症候群で、外反肘のほか、肘を曲げた姿勢を長く続けること、変形性関節症による骨の突出、ガングリオンも原因になる。進むと小指と薬指が曲がったまま伸びなくなり、指を開いたり閉じたりする力が落ちる。鍼灸では小海・少海などの肘周囲の経穴を用い、肘を深く曲げた姿勢を避けるよう指導する。
上肢の神経を4つ並べ、しびれの範囲から選ばせる。解法は、(1) しびれている指を担当する神経を出す、(2) その神経が背景にある変形の場所を通るかを確認する、(3) 担当領域が指でない神経を除く。
小指のしびれは尺骨神経の担当。この神経は肘の内側の後ろを通るので、外反肘があると年月をかけて引き伸ばされて傷む。筋皮神経は前腕外側、橈骨神経は手の甲の親指側、正中神経は親指から中指の担当。