「78歳の肥満女性。以前から腰痛があった。3日前から左膝内側の痛みが出現。市販の外用薬を使用して様子をみていたが、歩行時痛が増強してきたため来院した。」診断に有用性が最も低いのはどれか。
正答:3
正答:3
痛んでいるのは膝の内側。首の神経を調べる検査は、この痛みの原因を確かめる役に立たない。正答は3。
痛みの部位から、どの範囲を調べる検査が必要かを決められるか。
この人は腰痛の既往があり、3日前から左膝の内側が痛み、歩くと強くなる。膝そのものの問題と、腰から下肢へ放散する痛みの両方を考える必要がある。膝の中に水が溜まっていないかを確かめるのが膝蓋跳動、腰から出る神経が押されていないかを確かめるのが下肢伸展挙上テスト、脊柱管が狭くなって歩くうちに痛みが出ていないかを確かめるのが間欠跛行の聴取である。いずれもこの症例で意味をもつ。一方、スパーリングテストは首を後ろへ反らして横へ傾け、上から押して上肢に痛みが放散するかを見るもので、調べているのは頸椎から上肢へ向かう神経である。膝の痛みとは関係する範囲が違うので、この症例では最も役に立たない。
検査の名前だけを覚えていると、どこを調べるものかが抜ける。スパーリングは頸椎、下肢伸展挙上は腰椎、膝蓋跳動は膝、と調べる場所を対にして覚える。症状が出ている場所と、検査が調べる場所が一致しているかを見れば、役に立たないものはすぐ分かる。
高齢で肥満のある人の膝の内側の痛みは、関節の軟骨がすり減った状態を第一に考える。内側の関節の隙間に圧痛があり、動かし始めに痛み、進むと膝が内側へ曲がっていく。腰痛の既往があるので、腰から下肢への放散痛や、歩くうちに悪化して休むと回復する症状も確認する。膝と腰は互いに影響し合うので、両方を診る姿勢が要る。
検査を4つ並べ、いずれも実際に使われるものにして、調べる範囲が違うものを1つ置く。解法は、(1) 症状が出ている場所を確認、(2) 各検査が調べる場所を挙げる、(3) 一致しないものを選ぶ。
膝の内側が痛む人に、首を反らして上肢への放散痛を見るスパーリングテストは役に立たない。膝蓋跳動は膝、下肢伸展挙上テストと間欠跛行の聴取は腰と下肢を調べるもので、いずれもこの症例で意味をもつ。