「78歳の肥満女性。以前から腰痛があった。3日前から左膝内側の痛みが出現。市販の外用薬を使用して様子をみていたが、歩行時痛が増強してきたため来院した。」運動療法で適切でないのはどれか。
正答:4
正答:4
痛む膝に体重をかけ続けると悪化する。長く歩かせるのは避ける。正答は4。
膝に体重をかける量を増やす運動と、減らしながら鍛える運動を区別できるか。
膝の軟骨がすり減っている人では、体重が膝にかかる時間と回数が増えるほど痛みも損耗も進む。運動療法の狙いは、膝にかかる負担を減らしながら、膝を支える筋の力を保つことにある。水の中を歩けば浮力で体重の負担が減るので、痛みを出さずに運動量を確保できる。体を支える体幹の筋を鍛えれば姿勢が安定して膝への負担が減る。太ももの前の筋を鍛えれば膝が安定し、関節への衝撃が和らぐ。いずれも狙いに合う。これに対して長い距離を歩くことは、痛む膝に体重をかける回数をそのまま増やすことになり、この人はすでに歩くと痛みが強くなっている。したがって適切でない。
「運動はよいこと」と一般化すると4を選べない。膝の運動療法では、体重をかける量を増やす運動と、かけずに筋を鍛える運動を分ける。前者は痛みがある時期には避け、後者を先に行う。歩行そのものを否定するのではなく、痛みが強い時期には量を制限し、水中や座位での運動に置き換える。
膝の軟骨がすり減った状態では、体重を減らすことが最も確実な負担軽減になる。杖を反対側の手に持つ、洋式の生活に変える、正座を避ける、階段の昇降を減らすといった生活の工夫も併せて指導する。太ももの前の筋の訓練は、膝を伸ばしたまま脚全体を持ち上げる方法なら関節を動かさずに鍛えられるので、痛みが強い時期でも行える。鍼灸は疼痛の軽減を担い、運動療法と組み合わせて用いる。
運動を4つ並べ、一般には健康によいものを1つ混ぜる。解法は、(1) その関節にかかる負担が増えるか減るかで各運動を分ける、(2) 症例文の症状(歩行時痛の増強)を確認、(3) 負担を増やすものを選ぶ。
膝の内側が痛み歩行時痛が強まっている人に、長距離歩行は適さない。水中ウォーキングは浮力で負担が減り、体幹筋と大腿四頭筋の訓練は膝を安定させる。負担を増やすか減らすかで分ける。