「55歳の男性。夕食にしめさばを食べ就寝したところ1時間半後に強い心窩部痛で覚醒、救急搬送された。下痢は認めなかった。」本疾患の発症について正しいのはどれか。
正答:3
正答:3
締めた青魚を食べて数時間で激しい胃の痛みが起こるのは、魚に潜む幼虫が胃壁に食いつくため。低温で長く凍らせれば死ぬので予防できる。正答は3。
酢では死なず、加熱か冷凍でしか防げないという性質を知っているか。
サバ、イワシ、サンマ、イカなどの内臓や筋肉には、細い糸のような幼虫が潜んでいることがある。これを生で食べると幼虫が胃の壁に食いつき、数時間のうちに激しい上腹部の痛みと吐き気が起こる。虫そのものが刺さる刺激と、それに対するアレルギー反応が痛みを起こす。この幼虫は酢や塩、しょうゆ、わさびでは死なないため、締めても防げない。有効なのは、中心まで十分に加熱するか、低い温度で一定時間以上凍らせることである。目安として、マイナス20度で48時間の冷凍が挙げられる。したがって記述3が正しい。誤肢は3つとも誤り。イカにも潜るので生食で起こりうる。感染したからといって免疫ができるわけではなく、何度でも起こる。細菌ではなく寄生虫による。
「締めさば」という言葉が、酢で処理してあるから安全だという思い込みを誘う。酢、塩、しょうゆ、わさびのいずれもこの幼虫を殺さない。防げるのは加熱と冷凍だけ、という一点を覚える。また、下痢を伴わないことも、細菌性の食中毒との違いになる。
この幼虫が胃に食いついたものは、食後数時間から十数時間で激しい上腹部痛として現れる。腸まで進んだ場合は腹膜炎に似た症状になり、腸閉塞と紛らわしい。診断と治療を兼ねて内視鏡で虫体を探し、見つけたらその場でつまみ出す。予防としては、生食用の魚を鮮度のよいうちに内臓を除くこと、目視で確認すること、加熱または冷凍することが挙げられる。施術所で食後の激しい腹痛を訴える人がいたら、直前に何を食べたかを聞く。
予防と病原体について4つ並べ、酢で締めたという言葉で誤解を誘う。解法は、(1) 病原体が細菌か寄生虫かを決める、(2) その病原体に効く処理を挙げる、(3) 免疫ができるかどうかを確認する。
締めさばを食べて1時間半後の激しい心窩部痛は、魚に潜む幼虫が胃壁に食いついたもの。酢では死なず、マイナス20度48時間の冷凍か十分な加熱で予防する。イカでも起こり、何度でも罹り、細菌ではない。