次の文で示す経脈病証はどれか。「胸苦しさ、胸の熱感、手掌のほてり、息切れがみられる。」
正答:1
正答:1
胸の張り苦しさ・熱感、手掌のほてり、息切れは手の太陰肺経の経脈病証。肺経は中焦から胸・上肢前面橈側を通り母指に至り、関連病証に喘・咳・胸満・掌中熱がある。正答は1。
手の三陰経(肺・心包・心)の経脈病証を、手掌のほてりという共通所見の上で、呼吸症状(肺)・精神症状(心包)・咽乾や目黄(心)などの違いで見分けられるか。
手の太陰肺経の病証は、走行上では鎖骨上窩の痛み・上肢前面橈側の痛み・母指のしびれ、関連病証では肺が脹って苦しい(肺脹満)、喘、咳、胸満、気が上がって息切れ、手掌のほてり(掌中熱)。本例の胸苦しさ・胸の熱感・息切れは肺の気機の失調を示し、手掌のほてりは肺経の走行が手掌橈側(魚際)を通ることと対応する。手の少陰心経の病証も掌中熱を持つが、咽の乾き・心痛・目黄・脇痛が特徴で、手の厥陰心包経は掌中熱に加えて心煩・精神不安定・上肢のひきつりが出る。手の少陽三焦経は上肢後面で、耳・目尻・汗。
手の三陰経はいずれも胸から手へ走り、掌中熱を共有する。見分けは、肺経=呼吸(喘・咳・息切れ)、心経=心痛・咽乾・目黄、心包経=心煩・精神不安・上肢ひきつり。本例は「息切れ」で肺経に決まる。胸苦しさだけでは三陰のどれでも起こりうる。
肺経の流注は中焦に起こり大腸を絡い、胃口をめぐって横隔膜を上り肺に属し、気管・喉から腋下に出て上肢前面橈側を下り、寸口を経て魚際から母指末端(少商)に至る。『霊枢』経脈篇では是動病として肺脹満・喘咳・缺盆中痛、所生病として咳・上気・喘・煩心・胸満・臂の内前廉の痛み・掌中熱を挙げる。手の太陰は多気少血。
手掌のほてりという三陰共通の所見で心経・心包経へ迷わせ、息切れ・胸の熱感で肺経に決めさせる。解法は、(1) 前面(陰経)か後面(陽経)か、(2) 呼吸症状の有無、(3) 肺経。
手の太陰肺経は中焦から肺に属し、上肢前面橈側を通って母指に至る。経脈病証は走行上の痛みと、肺の気機失調による喘・咳・胸満・息切れ、手掌のほてり。本例の胸苦しさ・胸の熱感・息切れ・手掌のほてりは肺経。同じ手掌のほてりでも、心経は咽乾・目黄・心痛、心包経は心煩・精神不安が加わる。上肢後面の三焦経・小腸経は別の症状。