次の症例で、患者に自由に文章を書かせたときにみられる所見として最も適切なのはどれか。「68歳の男性。利き手の静止時振戦、上肢の歯車様筋強剛、歩行時のすくみ足がみられる。」
正答:3
正答:3
静止時振戦・歯車様筋強剛・すくみ足はパーキンソン病。書字では字が次第に小さくなる小字症がみられる。正答は3。
パーキンソン病の運動症状を書字という場面へ結びつけられるか。誤肢はいずれも別の病態による書字の異常。
パーキンソン病では、静止時振戦・筋強剛・動作緩慢(無動)・姿勢反射障害が四徴。書字では、動作緩慢と筋強剛のために運動の振幅がだんだん小さくなり、書き進むにつれて字が小さくなっていく。これが小字症で、自由に文章を書かせると明瞭に現れる。吃書は書字が途切れ途切れになるもの、書痙は書こうとすると手が痙攣する局所性ジストニア、自発書字障害は失語や失行に伴って自発的に文章を書けなくなるもので、いずれもパーキンソン病の典型ではない。
書痙とパーキンソン病の振戦は、どちらも書字で問題が出るが機序が違う。書痙は書字という特定の動作でだけ起こるジストニア、パーキンソン病の振戦は安静時に出て動作で軽減する。したがって書字の途中で目立つのは振戦ではなく、動作緩慢による字の縮小。
パーキンソン病の四徴:静止時振戦(4〜6Hz、丸薬丸め様、動作で軽減)、筋強剛(歯車現象・鉛管現象)、動作緩慢(無動)、姿勢反射障害(後方突進、小刻み歩行、すくみ足)。ほかに仮面様顔貌、小声(小声症)、小字症、前傾前屈姿勢。非運動症状として便秘・起立性低血圧・嗅覚低下・レム睡眠行動異常・うつ。書字の評価は、自由に文章を書かせて行末へ向かって字が小さくなるかを見る。
書字に関する異常を4つ並べ、別の病態のものを混ぜる。解法は、(1) 症例の疾患を確定、(2) その疾患の運動症状を書字の場面へ翻訳、(3) 他の肢がどの病態のものかを確認。
静止時振戦・歯車様筋強剛・すくみ足はパーキンソン病の運動症状。動作緩慢と筋強剛のため運動の振幅が小さくなり、書き進むにつれて字が小さくなる小字症が現れる。吃書は途切れ途切れの書字、書痙は書字時のジストニア、自発書字障害は失語や失行に伴うもので、いずれも別の病態。