次の症例で最も考えられる疾患はどれか。「75歳の男性。数か月前から両側の足趾の冷えとしびれを自覚。散歩中に下腿の痛みも出るが、休憩すれば歩くことができ、下肢の筋力低下はみられない。血圧は高く、喫煙歴は長い。ケンプテストは陰性。」
正答:3
正答:3
両足趾の冷えとしびれ、歩くと下腿が痛み休むと歩ける、筋力低下なし、高血圧と長い喫煙歴、ケンプテスト陰性。動脈の狭窄による間欠性跛行。正答は3。
間欠性跛行を血管性と神経性に分けられるか。冷感の有無と危険因子、腰椎の検査が手がかり。
間欠性跛行には血管性と神経性がある。血管性は下肢の動脈が狭窄して運動時に血流が足りなくなるもので、足趾の冷えとしびれ、皮膚の色調変化、足背動脈の拍動減弱を伴い、休めば回復する。危険因子は喫煙・糖尿病・高血圧・脂質異常症で、本例は高血圧と長い喫煙歴がある。神経性は腰部脊柱管狭窄症によるもので、前屈で楽になり自転車なら長く乗れるという姿勢依存性があり、冷感は伴わない。ケンプテストは腰を後屈側屈させて椎間孔を狭める検査で、陰性なら神経根の圧迫は考えにくい。下肢の筋力低下がないことも神経性を否定する。したがって閉塞性動脈硬化症。
間欠性跛行という語だけでは腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症を分けられない。分けるのは、冷感の有無(血管性であり)、姿勢依存性(神経性であり)、危険因子(喫煙・高血圧は血管性)、足背動脈の拍動。本例は冷えがあり危険因子もそろい、腰椎の検査が陰性なので血管性。
閉塞性動脈硬化症の病期(フォンテイン分類):Ⅰ度=冷感・しびれ、Ⅱ度=間欠性跛行、Ⅲ度=安静時疼痛、Ⅳ度=潰瘍・壊疽。診断は足関節上腕血圧比(ABI、0.9以下で異常)、足背動脈・後脛骨動脈の触知、超音波・血管造影。危険因子の管理と運動療法が基本で、重症例は血行再建。鍼灸では下肢の血流改善を狙うが、Ⅲ度以上や潰瘍がある場合は医療機関へつなぐ。腰部脊柱管狭窄症は前屈で楽になり、自転車では症状が出にくい。
間欠性跛行を起こす疾患を並べ、腰椎疾患を3つにする。解法は、(1) 冷感の有無を確認、(2) 姿勢依存性の有無を確認、(3) 危険因子を確認、(4) 腰椎の検査結果で神経性を消す。
両足趾の冷えとしびれ、歩くと下腿が痛み休めば歩ける、筋力低下なし、高血圧と長い喫煙歴、ケンプテスト陰性。冷感と危険因子がそろい腰椎の検査が陰性なので、血管性の間欠性跛行すなわち閉塞性動脈硬化症。腰部脊柱管狭窄症なら前屈で楽になり冷感は伴わない。