次の症例で適切な局所治療部位はどれか。「42歳の女性。主訴は右の母指から中指にかけての痛みとしびれ。母指球・手根部には症状はない。手を振ると楽になることがある。ファレンテストは陽性。」
正答:1
正答:1
母指から中指のしびれでファレンテスト陽性なので手根管症候群。局所は手根管の上で、大陵と労宮の間。正答は1。
誘発テストから絞扼部位を決め、その上を通る2穴の間を選べるか。母指球・手根部に症状がないという記述も手がかり。
母指から中指のしびれは正中神経の感覚領域。ファレンテスト陽性は、手関節を屈曲位に保つと手根管の内圧が上がって症状が誘発されることを示し、手根管症候群を裏づける。手を振ると楽になるのもこの疾患に特徴的。局所治療は手根管の直上に行う。大陵は手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間で手関節掌側横紋上にあり、手根管の入口にあたる。労宮は手掌で第2・第3中手骨間の中手指節関節の近位にあり、手根管を出た先の手掌部。この2穴の間が手根管とその出口の走行にあたる。少海と孔最の間は前腕近位で円回内筋の領域、小海と支正の間は前腕尺側で尺骨神経の領域、消濼と曲池の間は上腕後面から肘外側で橈骨神経の領域。
同じ正中神経でも、絞扼の高さで刺鍼部位が変わる。前腕近位なら少海と孔最の間(円回内筋症候群、第29回問135)、手関節部なら大陵と労宮の間(手根管症候群)。本例は母指球と手根部に症状がないと明記されており、しびれが指に限られることも手根管症候群に合う。
手根管症候群では、正中神経の手掌枝が屈筋支帯の浅い側を越えるため手のひらの感覚は保たれ、しびれは指に限られる。母指球の萎縮は進行例で出る。誘発テストはファレンテスト(手関節屈曲位の保持)、ティネル徴候(手根管を叩打)。夜間から明け方に強まり、手を振ると楽になるフリックサインが特徴。原因は妊娠・産後、透析アミロイドーシス、糖尿病、手の酷使、関節リウマチ。局所治療穴は大陵・内関・労宮・魚際など。
上肢の2穴の組を4つ並べ、神経と高さを散らす。解法は、(1) しびれの分布から神経を決める、(2) 誘発テストから絞扼の高さを決める、(3) その高さで神経の上を通る2穴を選ぶ。
母指から中指のしびれでファレンテスト陽性なので手根管症候群。局所治療は手根管の直上で、手関節掌側横紋上の大陵と手掌の労宮の間。少海と孔最の間は前腕近位の円回内筋、小海と支正の間は尺骨神経、消濼と曲池の間は橈骨神経の領域で、いずれも合わない。同じ正中神経でも絞扼の高さで部位が変わる。