次の症例で最も適切な病証はどれか。「38歳の男性。主訴は円形の脱毛。脱毛は急速に起こった。頭皮は脂っぽく、赤みがあり、痒みを訴える。口渇、便秘、小便黄を伴う。舌質は紅、舌苔は黄、脈は数を認める。」
正答:2
正答:2
急速に起こった円形脱毛で頭皮が脂っぽく赤みと痒みがあり、口渇・便秘・小便黄、舌紅・黄苔・脈数。熱が血分に入った血熱。正答は2。
脱毛の弁証を、発症の速さと熱の所見で決められるか。誤肢は瘀血・気虚・陰虚。
血熱は熱邪が血分に及んだ状態で、血の流れが速まって上へ突き上げるため、急速に症状が現れる。頭部では髪の根を養う血が熱に灼かれて脱毛が急に起こり、頭皮は脂っぽくなり赤みと痒みを伴う。口渇・便秘・小便黄はいずれも熱が津液を損ない下焦を乾かした所見、舌が紅く苔が黄色いのも熱、脈が数なのも熱。すべて実熱の側にそろうので血熱。血瘀なら脱毛は緩徐で頭皮の色が暗く、舌は紫暗、脈は濇。気虚なら疲れやすく髪に力がなく徐々に抜け、舌淡・脈弱。陰虚なら五心煩熱・盗汗を伴い舌紅少苔・脈細数となり、苔が黄色くはならない。
舌が紅いだけでは実熱と虚熱を分けられない。苔が黄色ければ実熱、苔が少ないか無ければ陰虚。脈も、数有力なら実熱、細数なら虚熱。本例は黄苔と脈数で実熱が確定する。また発症が急速か緩徐かは、熱(速い)と瘀血・虚(緩やか)を分ける手がかりになる。
脱毛の弁証:血熱=急速な脱毛、頭皮の赤みと脂っぽさ、痒み、舌紅苔黄、脈数。血虚=髪に艶がなく細く、めまい、顔色が白い、舌淡、脈細。腎虚=早期の白髪と脱毛、腰膝酸軟、耳鳴、舌淡または紅。血瘀=斑状の脱毛、頭皮の色が暗い、舌紫暗、脈濇。湿熱=頭皮が脂っぽく痒く、舌苔黄膩。円形脱毛症は自己免疫の関与が考えられ、ストレスが誘因になることがある。治法は血熱なら清熱涼血で、曲池・血海・大椎・風池などが用いられる。
病証を4つ並べ、熱の質(実熱と虚熱)と発症の速さで分けさせる。解法は、(1) 発症の速さを確認、(2) 舌苔の色と量で実熱か虚熱かを決める、(3) 脈で確認。
急速に起こった円形脱毛で頭皮が脂っぽく赤みと痒みがあり、口渇・便秘・小便黄、舌紅・黄苔・脈数。すべて実熱の所見で、熱が血分に及んだ血熱。血瘀は緩徐で舌紫暗、気虚は徐々に抜け舌淡脈弱、陰虚は少苔と脈細数。舌苔の色と量で実熱と虚熱を分けるのが要点。