次の症例でみられる痰の性状で最も適切なのはどれか。「27歳の男性。主訴は咳と痰。咳は無力で、声に力がない。息切れ、倦怠感を伴い、疲れると症状が悪化する。舌質は淡、舌苔は薄白、脈は弱を認める。」
正答:1
正答:1
咳は無力で声に力がなく、息切れと倦怠感があり疲れると悪化する。舌淡・薄白苔・脈弱の肺気虚なので、痰は薄く透明。正答は1。
病証を肺気虚と決め、その証で出る痰の性状を選べるか。痰の色と粘りが虚実寒熱を映す。
咳に力がなく声も小さいのは肺気が不足している所見。息切れと倦怠感、疲れると悪化することも気虚を示す。舌が淡く苔が薄白で脈が弱いのも気虚。したがって肺気虚。肺気が弱ると津液を巡らせる力が落ちて、薄くさらさらとした透明な痰が出る。白色で大量の痰は痰湿が肺に停まった痰湿阻肺で、脾の運化失調が背景にあり舌苔は白膩・脈は滑。黄色く粘りのある痰は熱が津液を煮つめた痰熱で、舌苔は黄・脈は滑数。血の混じった痰は熱が絡を傷つけたか、陰虚や瘀血によるもので、いずれも本例の虚寒の所見と合わない。
痰の性状を、量・色・粘りの3点で読む。薄く透明で少量=気虚や寒、白く多量=湿痰、黄色く粘る=熱痰、少量で切れにくい=燥・陰虚、血が混じる=熱や瘀。本例は咳の力のなさと声の弱さという「勢いのなさ」が気虚を名指ししている。
咳嗽の弁証:風寒犯肺=悪寒発熱・薄い白痰・脈浮緊。風熱犯肺=発熱・黄痰・脈浮数。燥邪犯肺=乾いた咳・少量で切れにくい痰。痰湿阻肺=多量の白痰・白膩苔・脈滑。痰熱壅肺=黄色く粘る痰・苔黄膩・脈滑数。肺気虚=咳に力がない・声が小さい・自汗・易感冒・薄く透明な痰・舌淡・脈弱。肺陰虚=空咳・少量で粘る痰・血が混じることもある・舌紅少苔・脈細数。肝火犯肺=発作性の咳・胸脇痛・脈弦数。
痰の性状を4つ並べ、実証と熱証のものを混ぜる。解法は、(1) 咳の勢いと声の力で虚実を決める、(2) 舌脈で確認、(3) 虚寒なら薄く透明、実熱なら黄色く粘る、と対応させる。
咳に力がなく声も弱く、息切れと倦怠感があり疲れると悪化する。舌淡・薄白苔・脈弱もそろうので肺気虚。津液を巡らせる力が落ちるため、痰は薄くさらさらとした透明なものになる。白く多量なら痰湿、黄色く粘るなら痰熱、血が混じるなら熱や陰虚で、いずれも本例と合わない。