次の症例に対し、難経六十九難に基づき補法を行う治療穴はどれか。「82歳の女性。主訴は尿漏れ。くしゃみをしたり、重い荷物を持ったりするときに起こる。尿の回数は多く、足腰のだるさ、倦怠感を伴う。」
正答:4
正答:4
尿漏れ・頻尿・足腰のだるさ・倦怠感は腎気虚。腎(水)を補うには母である金を補うので、腎経の経金穴である復溜。正答は4。
症状から臓を決め、六十九難の母子補瀉を自経の五行穴で実行できるか。第32回問143と同型で、臓が違う。
くしゃみや重い荷物で尿が漏れるのは腎の固摂が弱った腎気不固、尿の回数が多いのも同じ。足腰のだるさは腰が腎の府であることによる腎虚、倦怠感も気の不足。合わせて腎気虚。『難経』六十九難は「虚する者はその母を補い、実する者はその子を瀉す」とする。腎は水にあたるので母は金、すなわち肺。補うのは自経(腎経)の母穴である経金穴、これが復溜。足臨泣は胆経の兪木穴、曲泉は肝経の合水穴、束骨は膀胱経の兪木穴で、いずれも腎経の金穴ではない。
母子補瀉では、虚証には母を補うので「自経の母の五行穴」を取る。腎は水、母は金なので経金穴。陰経の五行穴は井木・滎火・兪土・経金・合水の順に並ぶので、腎経なら湧泉(井木)・然谷(滎火)・太渓(兪土)・復溜(経金)・陰谷(合水)。この並びを覚えていれば経金穴が復溜だと出る。
陰経の五行穴:井木・滎火・兪土・経金・合水。陽経の五行穴:井金・滎水・兪木・経火・合土。母子補瀉の組(虚証で母を補う):肺虚(金)→土を補う=太淵(兪土)。腎虚(水)→金を補う=復溜(経金)。肝虚(木)→水を補う=曲泉(合水)。心虚(火)→木を補う=少衝(井木)。脾虚(土)→火を補う=大都(滎火)。母経の同じ五行穴を併せて取ることもある(第32回問143はその形)。
五行穴を4つ並べ、経と五行を散らす。解法は、(1) 症状から臓を決める、(2) その臓の五行を出す、(3) 母の五行を出す、(4) 自経のその五行穴を選ぶ。
尿漏れ・頻尿・足腰のだるさ・倦怠感は腎気虚。六十九難に従い、腎(水)の母である金を補うので、腎経の経金穴である復溜を取る。足臨泣は胆経の兪木穴、曲泉は肝経の合水穴、束骨は膀胱経の兪木穴。陰経の五行穴の並び(井木・滎火・兪土・経金・合水)を押さえると経金穴が出せる。