「65歳の女性。右手関節部の骨折による変形が原因で、示指と中指の指先がしびれて、母指の動きが障害されるようになった。」最も認められる徴候はどれか。
正答:3
正答:3
手関節部の骨折による変形で正中神経が手根管で圧迫され、示指と中指のしびれと母指の運動障害が出た。母指球筋の麻痺なのでパーフェクトOの不整。正答は3。
骨折後の変形が正中神経を圧迫したという経過を読み、母指球筋の麻痺で出る所見を選べるか。
手関節部の骨折が変形治癒すると手根管が狭くなり、正中神経が圧迫されて遅発性の手根管症候群になる。示指と中指の指先のしびれは正中神経の感覚領域。母指の動きが障害されるのは、手根管より遠位で正中神経から枝を受ける母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭)の麻痺による。この状態で母指と示指で輪を作らせると、対立と外転が弱いので輪がつぶれて楕円になる。これがパーフェクトOの不整。祈祷師の手は前腕近位での正中神経障害、ティアドロップサインは前骨間神経麻痺(運動枝のみでしびれを伴わない)、フロマン徴候は尺骨神経麻痺による母指内転筋の麻痺の所見。
母指と示指の輪を使う所見が2つある。楕円になるのは母指球筋の麻痺(手根管症候群)、涙のしずく形になるのは前骨間神経麻痺で長母指屈筋と示指の深指屈筋が働かないため。しびれを伴うかどうかも分かれ目で、前骨間神経は運動枝だけなのでしびれを伴わない。
橈骨遠位端骨折はコレス骨折(背側転位、フォーク状変形)が代表で、高齢女性の転倒で多い。変形治癒すると手根管が狭くなり遅発性の正中神経麻痺を起こす。手の変形と神経:猿手=正中神経(母指球の萎縮)、鷲手=尺骨神経、下垂手=橈骨神経(上腕レベル)、下垂指=後骨間神経、祈祷師の手=正中神経の高位麻痺。所見:パーフェクトOの不整=母指球筋、ティアドロップサイン=前骨間神経、フロマン徴候=尺骨神経(母指内転筋)。
手の所見を4つ並べ、同じ動作(輪を作る)でみるものを2つ置く。解法は、(1) 障害された神経と高さを決める、(2) 麻痺する筋を出す、(3) その筋の麻痺で出る所見を選ぶ。
手関節部の骨折が変形治癒して手根管が狭くなり、正中神経が圧迫された遅発性の手根管症候群。母指球筋が麻痺するので、母指と示指で輪を作ると楕円になるパーフェクトOの不整が出る。涙のしずく形は前骨間神経麻痺、祈祷師の手は前腕近位の障害、フロマン徴候は尺骨神経麻痺の所見。