「65歳の女性。右手関節部の骨折による変形が原因で、示指と中指の指先がしびれて、母指の動きが障害されるようになった。」骨折した骨として最も適切なのはどれか。
正答:2
正答:2
手関節部で変形治癒して手根管を狭くしうる骨折といえば橈骨の遠位端。正答は2。
手関節部の骨折で最も多く、変形治癒して神経症状を残しやすい骨を選べるか。
手関節部の骨折で最も頻度が高いのは橈骨遠位端骨折で、転倒して手をついたときに起こる。背側へ転位するコレス骨折が代表で、横から見るとフォークを伏せたような変形(フォーク状変形)になる。変形したまま治ると手根管の形が変わって狭くなり、正中神経が圧迫されて遅発性の手根管症候群を起こす。舟状骨骨折も手をついて起こるが、変形よりも偽関節や壊死が問題になり、手根管を狭くする変形は起こしにくい。尺骨は単独で骨折することは少なく、茎状突起の骨折は橈骨遠位端骨折に合併する形が多い。有鈎骨鈎の骨折はゴルフや野球のグリップで起こり、ギヨン管で尺骨神経を圧迫することがあるが、正中神経ではない。
手根管の底は手根骨、蓋は屈筋支帯で、その屈筋支帯は橈側手根隆起(舟状骨結節・大菱形骨結節)と尺側手根隆起(豆状骨・有鈎骨鈎)に張る。したがって舟状骨も有鈎骨も手根管に関わるが、変形治癒で管を狭くする頻度が高いのは橈骨遠位端。前問で正中神経の障害と決まっているので、尺骨神経を圧迫する有鈎骨は外れる。
橈骨遠位端骨折:コレス骨折(背側転位、フォーク状変形、高齢女性の転倒に多い)、スミス骨折(掌側転位)、バートン骨折(関節内)。合併症は正中神経麻痺、長母指伸筋腱の断裂、複合性局所疼痛症候群、変形治癒。舟状骨骨折は解剖学的嗅ぎタバコ入れの圧痛が手がかりで、血流が遠位から入るため近位骨片の壊死や偽関節を起こしやすく、初回のエックス線で写らないこともある。
手関節部の骨を4つ並べ、手根管に関わる骨を混ぜる。解法は、(1) 前問で決めた障害神経を確認、(2) 手関節部で頻度が高く変形治癒しやすい骨を出す、(3) 他の骨の骨折で何が問題になるかを確認。
手関節部の骨折で最も多いのは橈骨遠位端骨折で、転倒して手をついたときに起こる。変形したまま治ると手根管が狭くなり、正中神経が圧迫されて遅発性の手根管症候群になる。舟状骨骨折は偽関節や壊死、有鈎骨鈎の骨折はギヨン管での尺骨神経圧迫が問題で、いずれも正中神経ではない。